「iPS細胞などライフサイエンス(生命科学)分野では、70%以上の研究者が他人の論文の再現実験に失敗した経験がある。自身の再現実験に失敗した人も半数以上いる。こうした状況を変えていきたい」(iPSポータルの村山昇作社長)――。

 ライフサイエンス分野で課題となっている実験の再現性を高めようと、iPS細胞関連事業を手掛けるiPSポータルなど8社が新たなコンセプトの研究施設「次世代ラボ」開発に向けて集結した。医療ヘルスケア関連企業が中心の8社の中で、異彩を放つのが唯一のIT企業として参加するNTTデータだ。IT企業はライフサイエンス分野でどのような貢献ができるのか、どのようなビジネスチャンスがあるのか。

iPSポータルなど8社が集結。右端がiPSポータルの村山昇作社長
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安定的に実験結果を生み出す

 8社は2019年5月に次世代ラボを開発する「COTO LABOコンソーシアム」を設立。島津製作所の本社・三条工場にある研究開発棟「ヘルスケアR&Dセンター」内に、各社の実験装置などを持ち寄った次世代ラボの実証施設を設置した。2019年9月9日に報道関係者向け発表会を開催し、施設を披露した。

 次世代ラボは研究者や場所、時間に左右されず、安定的に実験結果を生み出すことを目指す。そのために実験装置が計測したデータだけでなく、実験室の環境データ(温度や湿度、振動など)から研究者の動作まで様々なデータを取得する。データを分析すれば、異なる実験結果になった際の原因究明が容易になるとする。

 iPSポータルの村山社長は「こうした試みは世界でも聞いたことがない。グローバルスタンダードを狙う」と意気込む。まずは2020年3月末までに次世代ラボのプロトタイプを完成させ、2020年4月以降の製品化を目指す。最初は日本の大学や企業などの研究施設へ売り込むが、将来は世界市場への展開も視野に入れる。

次世代ラボの実証施設
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