NTTデータが2018年12月に導入した高額報酬制度の「Advanced Professional(ADP)」。優れた技術者を2000万円を超える年収で遇する同制度の適用第1号がこのほど明らかになった。その人物の横顔に迫ろう。

 適用第1号となったのは、ビッグデータ処理のオープンソースソフトウエア(OSS)「Apache Hadoop」の事業を同社で立ち上げたことで知られる濱野賢一朗氏だ。1980年6月生まれの39歳。同社はADP制度を発表した際に「確定申告が必要な額になる給与」、つまり年間2000万円を超える給与になると説明していた。濱野氏の給与は標準報酬だけで2000万円を超え、業績に応じて年収は最大3000万円に増えるという。

NTTデータテクノロジーカンファレンス 2019でADP制度を説明する濱野賢一朗氏
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 米国IT企業に対抗すべく高額報酬制度を導入する日本のIT企業が相次いでいる。しかしその適用者が明らかになるケースは珍しい。濱野氏は、2019年9月5日に開催されたNTTデータのカンファレンスに登壇し、自らADPの適用対象になったことを明らかにした。

 NTTデータは濱野氏に続いて、著名なOSSの開発プロジェクトに「コミッター」などとして参画する技術者2人にADPを適用した。ADPが名ばかりの制度ではなく実際に対象者がいるのだと対外的に示すことで、社外からの優秀な人材の獲得に弾みをつける狙いがある。

煩雑な管理業務からも解放

 給与が高くなるだけではない。ADPの対象者は業務内容や予算執行に関する権限や裁量も大きくなる。通常のケースでは同社の従業員は課長や部長といった職位に応じて権限が決まっている。それに対してADPの対象者は、経営陣が対象者ごとにそのミッションや権限を個別に設定する。

 濱野氏は技術開発本部先進基盤技術グループの「エグゼクティブ・エンジニアリング・ストラテジスト」に就任。「NTTデータは事業規模で(ITサービス事業者の)グローバルトップ5に入ることを目標に掲げているが、テクノロジーの面でもグローバルトップ5に食い込めるような技術的な取り組みを進めていく」(濱野氏)という。管理職ではないので、日本の大企業特有の煩雑な管理業務からは解放される。「管理業務は別に担当する人がいる」(同)ため、濱野氏は戦略の立案や企画の実現に専念できる。

 これまでのNTTデータは成果を上げた技術者を管理職に「昇格」することでその労に報いてきた。実際に濱野氏もHadoop事業を軌道に乗せた後、2016年から2018年まで秘書室課長として、最高技術責任者(CTO)を補佐する任務に就いていた。今後は未来ではなく現在の高い報酬と、煩雑な管理業務ではなく専門性を生かせるミッションが濱野氏に与えられることになる。

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