建設分野の調査・設計を手掛ける新日本コンサルタント(富山市)は2021年3月までをめどに、ある地点の降雨量さえ分かればAI(人工知能)が排水路の将来水位を予測するサービスを始める。同社が提供する従来の解析ソフトを使った水位予測システムと比べると、下水道の管路網や周囲の地形を再現する手間を省けるため、予測コストを7割下げられるという。予算に乏しい自治体でも浸水対策に向けた水位予測を導入しやすくなりそうだ。

従来技術の3割程度のコストで水位を予測できる
(出所:新日本コンサルタント)
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降雨量と実測水位データだけで予測できる

 新サービス「水(み)まもり(AI水位変動予測配信システム)」は同社が神戸大学との共同研究で開発した技術をベースとし、米アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services)の「Amazon Web Services(AWS)」を使ったクラウドサービスとして提供する。解析したい地点の雨量と実測した水位をセットにした教師データをAIに学習させて、局所的に水位を予測する仕組みだ。

 「降雨量とそれに伴う水位の上昇の仕方には、地域ごとの特性が含まれている。それをAIに見つけさせるイメージだ」。サービス開発を担当した新日本コンサルタントの羽黒厚志プロジェクト事業本部ICT事業推進グループ課長代理はこう説明する。大手が河川の水位予測にAIを取り入れる試みは幾つかあるが、地方の企業が技術開発をする例は珍しい。

 教師データで重要なのはある程度まとまった雨が降ったときの実測値である。排水路の8~9割近くまで水位が達するようなデータを5回以上学習させれば、ある程度の精度で予測できるようになるという。

 同社は2019年9月現在、富山市内のある排水路に水位計を設置して、リアルタイムの降雨量に基づいて予測した水位と実測値を比較する検証に取り組んでいる。AIには過去2年分の観測データから作成した100万件以上の教師データを学習させた。

 2019年4月から検証を開始し、降雨30分後の水位では数十センチの誤差があるが、10分後の水位であれば数センチ以内の誤差に収まると確認したという。「従来技術と遜色ない精度だ」と羽黒課長代理は胸を張る。

配信画面のイメージ。最新の降雨量と水位を基にAIが将来水位を予測し、画面は毎分更新される
(出所:新日本コンサルタント)
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自治体に3ステップで導入

 新日本コンサルタントは新サービスを自治体に展開する計画だ。幾つかの段階に分けて提供していくという。

 前述した通り、新サービスには実測データが欠かせない。自治体への導入が決まったら、まずは最低限の運用費で実測データを収集し、AIに学習させて予測モデルを構築する。

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