内定辞退率予測データ問題がリクナビ運営に影を落としている
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 リクルートキャリアは「リクナビ」において38社に内定辞退率予測データを提供していた問題で2019年9月6日、職業安定法に基づいて厚生労働省の東京労働局から行政指導を受けた。厚生労働省は「本人の同意がなかったり、同意せざるを得ない状況だったりという状況で内定辞退率などの情報が企業に提供されることは、学生の立場を弱め、就職活動を萎縮させる」と指摘。同社に改善を求めた。

 内定辞退率予測データの提供が大きな騒動になったことは、今後のリクナビ運営に影を落とし始めている。例えば明治大学は10月からの大学3年生向けの就活ガイダンスにおいて、例年学生に勧めていたリクナビの登録を今年度は実施しない方針を固めている。同じく都内の私立大学は10月からの学生向け就活ガイダンスのいくつかの講師をリクナビの担当者に任せる予定だったが、取りやめたという。「校内にあるリクナビ関連のポスターやパンフレットもすべて撤去した」。

 リクナビやマイナビといった就職情報サイトのビジネスモデルは、毎年80万人ほどの学生の登録が利益の源泉になっている。大勢の学生を目当てに、企業が有料で採用広告を出稿してくれるからだ。

 企業情報やエントリー機能などの基本料金で100万~200万円はかかると言われている。採用難を背景にリクナビやマイナビなどへ広告を掲載する企業はそれぞれ毎年2万〜3万社にも上り、ここ数年は増加傾向にある。「バナー広告の掲載やサイト内での検索結果の上位表示、特定大学の学生に送るダイレクトメールなど、オプションを追加するたびに料金がかかる仕組み」(採用コンサルタントの谷出正直氏)。ある大手製造業の人事担当者はリクナビへの出費が年間1億円を超えると明かす。「他の大手企業もそのぐらいでは」(同)。

 大学に勧めてもらえず、学生がリクナビから離反していけば、掲載料を払ってくれる企業が減ってしまいかねない。実際、企業のリクナビ離れの兆候も見え始めている。今回、リクナビからデータを購入していたある企業の人事担当者は、「データを購入していた立場なので大きい声では言えないが、数百万円を払って騒動に巻き込まれて、正直リクナビには憤っている」と本音を明かす。リクナビの利用についても「急に使わないようにはできないが、付き合い方は変わるかもしれない」という。

 別のある広告会社は秋からのインターンシップの募集広告を出すために、リクナビとマイナビに提案を依頼していた。内容を検討した結果、「リクナビはどう改善していくのか不明だったうえイメージもよくないので、マイナビにすると社内で決まった」という。この担当者は「8月は騒動の影響で、リクナビの担当者は営業を自粛気味だったのでは。ぜんぜん密な提案をしてもらえなかった」と振り返る。

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