令和になって初めてとなる、中央省庁の2020年度予算に対する概算要求がまとまった。総額は過去最高の104兆9998億円。IT関連の主だったものを集計すると5344億3800万円に上った。目立ったのは、省庁横断のマイナンバー制度の普及策や、行政手続きのデジタル化など大がかりな要求だった。

 政府は全国民がマイナンバーカード(個人番号カード)を保有する前提で、活用の幅を医療や戸籍などへも広げる考えである。加えて、行政手続きは原則として全てオンライン申請に対応させる。これらを踏まえた「デジタル国家」を実現する政策を総動員しており、それぞれの省庁が要求額を増やした格好だ。

マイナンバー関連で2100億円を要求

 日経 xTECHが集計したところ、マイナンバーに関連する主なIT政策の要求額は合計で2101億8000万円だった。この中で特に大きいのが、総務省が要求した「マイナンバーカードの普及・利用促進」に関する予算。項目全体の要求額は1801億5000万円で、2019年度から6.9倍に膨れあがった。

2020年度概算要求における、マイナンバーに関係する主なIT政策の要求額
(注)100万円単位で四捨五入している。また厚労省の「医療保険分野でのマイナンバー活用」の要求額が減少しているのは2019年度で医療保険関連システムの改修が終了するためで、この反動減を除けば増額となる
担当省庁項目要求額2019年度予算からの増減
総務省マイナンバーカードの普及・利用促進1801.5億円591%増
マイナンバーカードを使ったキャッシュレス決済基盤の構築金額未定新規
厚生労働省医療保険分野でのマイナンバーの利活用145億円54%減
法務省戸籍事務とマイナンバー制度の連携など99.1億円160%増
内閣官房マイナポータルの整備など56.2億円36%増

 要求額1801億5000万円の8割に当たる1493億円をマイナンバーカードの無料交付にかかる経費が占めている。政府は取得率が約12%にとどまるマイナンバーカードをほぼ全国民に普及させるため、2020年度から使える用途を広げる。

 需要増を見越して、自治体から委託を受けてカードを発行する地方公共団体システム機構(J-LIS)は2019年6月に合計5500万枚の入札公告を出しており、総務省は要求額をこうしたカード調達や交付の諸経費に充てる考えだ。

 マイナンバーの用途拡大において最大の注目点は、消費増税後の消費落ち込みを和らげるために導入する新たなポイント制度「マイナポイント」だ。マイナンバーカードを本人認証やポイント管理に使って、店舗などでの購入額の一部をポイントとして還元する。

 2020年10月からのスタートを見込み、現時点で購入額の25%程度を還元する案が出るなど、政府はポイント制度をマイナンバーカード普及の切り札に位置付ける。総務省は今回、この基盤システムの開発費を要求。現時点で金額は未定で、2019年末の予算案策定までに改めて詰める予定だ。

 医療や戸籍でもマイナンバーを使う政策が始動する。厚生労働省は2020年度から医療機関でマイナンバーカードを健康保険証の代わりとして使えるようにする計画で、保険資格を確認するシステム開発に145億円を要求した。

 法務省は戸籍事務をマイナンバーと連携させて効率を上げるために、同連携に関して2019年度の2.6倍となる99億1000万円を要求した。制度は約5年後の2024年度に始まる見通しで、2020年度は一部システムの設計業務などに予算を使うとみられる。

 内閣官房はマイナンバー制度の個人向けポータルサイトである「マイナポータル」の整備などで56億2300万円を要求した。システム改修により、マイナポータルを通じて企業が従業員の社会保険の手続きを一括でできるようにする計画だ。

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