「空気が、川や湖に負けない水源になる。空気から水を収穫すれば、砂漠がオアシスになる」――。

 米カリフォルニア大学(Unviersity of California)バークレー校(UCB)のProfessor of ChemistryのOmar Yaghi氏は、金属有機構造体(Metal-Organic Framework:MOF)と呼ばれるタイプの多孔質材料を用いた「Water Harvester(水収穫機)」で砂漠の空気から水を高い収率で搾り取れることを実証したと論文発表した(関連記事)。

[画像のクリックで拡大表示]
UCBのYaghi研究室が開発した水収穫機のMOFの筐体
(写真:Mathieu Prévot, UC Berkeley)

 開発したのは、UCB Professor of ChemistryのOmar Yaghi氏の研究室。この収穫機を米国カリフォルニア州のモハベ砂漠(Mojave Desert)で3日間動作させたところ、MOF1kg当たり平均0.7L/日の水を得られたとする。3日のうち1日は湿度7%と非常に低かったが、それでも同0.2L/日の水を得られたという。水収穫機は、太陽光パネルを用いた太陽光発電の電力で動作させた。

 実はこの水収穫機は、3世代目の装置。2017年に発表した初代機は太陽熱のみで脱水させるパッシブタイプだった(関連記事)。第2世代の水収穫機は冷却にも電力を使わない完全パッシブタイプ。ただし砂漠では、0.07L/kg/日しか水を収穫できなかった。

 一方、今回の水収穫機はパッシブではなく、太陽光発電による電力でファンを回し、空気を積極的にMOFに送り込む。ただし、一度にすべてのMOFに空気を当てるのではなく1/2だけ。これが吸水フェーズのMOFである。もう1/2は、ヒーターによる加熱によって水を吐き出す脱水フェーズのMOF。つまり、吸水フェーズと脱水フェーズを交互に繰り返すことで、昼夜を問わず水収穫機を駆動できるようになり、砂漠での水の収穫量は、0.7L/kg/日と第2世代機の10倍になった。第3世代機の寸法はMOFを入れた筐体(きょうたい)が約26cm角で13cm厚。これに太陽光パネルと蓄電池などが付随する。

[画像のクリックで拡大表示]
モハベ砂漠での実験の様子と、システムの全景
収穫した水を持っているのは、UCB ポスドクのMathieu Prévot氏(写真:Nikita Hanikel, UC Berkeley)

 MOFの材料も、第2世代機まで用いていたジルコニウム(Zr)ベースの「MOF-801」から、アルミニウム(Al)ベースの「MOF-303」に変更した。吸水性が30%高まった上に、脱水に必要な時間も短くなったという。理想的な状況では約20分で脱水できるとする。吸水と脱水のサイクルを速く回せるようになったことで「ファンによる送風と併せて使えば、1日に何度でも水を収穫できるようになる」(Yaghi氏)。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら