通信教育大手のベネッセコーポレーションが2014年7月に引き起こした顧客情報流出事件。流出件数は日本で過去最大となる約3504万件(ベネッセ推計の有効件数は約2895万件)に達した。一部の被害者はベネッセの責任を追及すべく複数の民事裁判で争っており、その判決が2018年から次々と出ている。

 裁判における大きな争点の1つは、顧客情報の管理を委託したベネッセ側にも事件の責任があるかどうかだ。東京高等裁判所は2019年6月27日、委託先企業に加えてベネッセの責任を認め、2社共同での賠償を命じた。一連の裁判でベネッセ本体への賠償命令は今回が初めてとなる。

 そこで、原告側の弁護人を務めた金田万作弁護士に、判決の意義や個人情報を扱う企業への影響などを聞いた。裁判ではベネッセが委託先企業の情報セキュリティー体制の不備を見逃していた点などを認めた。金田弁護士は「委託先に対する監督責任では踏み込んだ判断だ」と意義を語った。

 なお、今回の裁判の原告は、ベネッセの通信教育を受けていた2家族の子供と保護者の合計5人である。金田弁護士は原告側の弁護だけでなく、自らも事件の被害者として原告の1人となっていた。

原告側の弁護人を務めた金田万作弁護士
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ベネッセにも「共同不法行為」があった

一連の裁判でベネッセに初めて賠償命令が出た。判決内容をどう受け止めているか。

 判決では、ベネッセ関連会社で顧客情報管理を請け負っていたシンフォームと共にベネッセにも事件の責任があったと認めた。2社による「共同不法行為」、つまりシンフォームとベネッセの両社の行為が合わさって顧客情報の流出事件が起こったと判断した。そのうえでベネッセに対する損害賠償も認めた。

 ベネッセ本体の過失責任と賠償責任を同時に認めた判断は、一連の裁判で初めてだ。2018年の一審判決ではベネッセの責任を全く認めない、または一部の責任を認めたとしてもベネッセ本体による賠償までは認めていなかった。今回の二審で判断を変えたことになる。

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