DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた取り組みが増えるなか、変化に強いシステムを開発しやすいアジャイル開発の採用が増えている。ガートナージャパンが2019年2月に発表した調査結果によると、「日本国内の従業員数2000人以上の大企業では、アジャイル型開発を『採用中』または『採用予定あり』と答えた割合が70%近くに達した」という。

 顧客ニーズを取りこぼすまいと日本のIT企業もアジャイル開発要員を増やす。日経 xTECHの独自調査では2021年にNTTデータが6000人、富士通が4000人、SCSKが3000人のアジャイル開発要員を抱えようと計画している。

顧客システムのアジャイル開発プロジェクトに携わるエンジニアの数
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 ユーザー企業もIT企業もアジャイル開発に意気込むものの、計画重視のウオーターフォール型を基本としてきた開発現場にアジャイル型を定着させ、生産性を高めていくのは容易ではなさそうだ。理由の1つがマネジャーもメンバーも「モチベーションの維持」に慣れていないからである。

 アジャイル開発はチームメンバーが協力し合って自律的に開発を進めていく。そのため、チームメンバーのモチベーションや心理的安全性(自分の感情をしっかりと周囲に伝えられる状態)がチームの生産性に大きく影響するとされる。

 事実、アジャイル開発の考え方を記した「アジャイル宣言の背後にある原則(アジャイルソフトウェアの12の原則)」には次のようにある。「意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成します。環境と支援を与え仕事が無事終わるまで彼らを信頼します」――。

モチベーションをクラウドで可視化

 DXに取り組むため、アジャイル開発を活用したいが、モチベーションをどう高めていけばいいのか。問題解決の1つの手段となりそうなサービスがこのほど登場した。NTTデータが、ロイヤルティー(企業やブランドに対する愛着や信頼)を数値化・改善するサービスを提供するベンチャー企業Emotion Tech(東京・千代田)と組んで2019年7月25日から提供を始めた「SI-Tech」である。アジャイル開発のモチベーションに特化したサービスは珍しい。

 NTTデータはSI-Techを既存サービス「Agile Center」のオプションとして提供する。アジャイル開発に必要な居室や設備、IT環境、開発ノウハウを一括提供するサービスである。SI-Techは単体サービスとしても提供し、料金はプロジェクトの参加人数や利用期間によるが、1チーム月額10万円程度から。NTTデータとEmotion Techは2023年3月末までに50プロジェクトへの導入を目指す考えだ。

 SI-Techは、アジャイル開発チームのメンバーから、2週間ごとや毎日といった周期で定期的に回収するアンケート結果を分析して改善ポイントを示す。アンケートシステムにはEmotion Techが提供するクラウドサービス「Employee Tech」を使う。

 質問は4カテゴリーの合計16項目から成る。メンバーは例えば「現在のチームで開発することを、知人・友人のエンジニアにどの程度すすめたいと思いますか?」という質問に0から10までの11段階で答える。

 さらに回答に影響した「要因」ごとに「マイナスに影響した」「影響しなかった」「プラスに影響した」を3段階(5段階や7段階も可)で回答する。要因には「会社や職場の風土」や「個人の成長に向けた土壌」「仕事内容そのもの」「労働時間」などがある。質問はEmotion Techがアジャイル開発向けに新たにつくったもので、カスタマイズも可能だ。

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