国内SI大手が海外進出を加速させている。直近では伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が2019年7月31日に、インドネシアのSI企業2社の買収を発表した。インドネシア諸島全土に33拠点を持つコンプネット(Nusantara Compnet Integrator)とビジネス要件定義も手掛けるプロシア(Pro Sistimatika Automasi)だ。買収額は約80億円とみられる。

 「グローバルビジネス拡大が重点施策」とするCTC。伊藤忠商事時代に「M&A(合併・買収)のプロ」と称された菊地哲社長は2012年に社長に就いて以降、マレーシアやシンガポール、タイのIT企業を買収してアジアビジネスを拡大してきた。東南アジアでの買収は今回で4カ国目となる。

インドネシアIT企業の買収に関する発表文
(出所:伊藤忠テクノソリューションズ)
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 CTCの2019年3月期の海外売上高411億円のうち、85%に当たる約350億円を東南アジア諸国連合(ASEAN)からの売り上げが占める。今回の2社買収などと合わせ、2021年3月期には海外売上高を2019年3月期比45%増の600億円規模まで拡大すると中期経営計画で掲げており、海外事業のけん引役がASEANであることは間違いない。

東南アジアへの進出が続々

 東南アジアシフトを進めるのはCTCだけではない。日経 xTECHが国内SI大手7社に聞き取り調査したところ、非開示だった日本ユニシスをのぞく6社がASEANに進出していると回答した。

国内SI大手のアジア進出状況
※1 2019年3月期におけるASEAN地区子会社と持分法適用会社の売上高の合計、※2 数値は2018年12月期のもの
社名2019年3月期の海外売上高(売上高比率)2019年3月期のASEAN売上高(売上高比率)2019年7月末日時点のASEAN進出国
野村総合研究所(NRI)530億8100万円(10.6%)非開示(非開示)インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)411億円(非開示)約350億円(非開示)インドネシア、シンガポール、タイ、マレーシア
TIS非開示(非開示)事業規模約570億円※1(非開示)インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー
SCSK非開示(非開示)非開示(非開示)シンガポール(インドネシアとミャンマーでの新拠点設立を決定済み、ベトナムなどへの進出も推進中)
日本ユニシス非開示(非開示)非開示(非開示)非開示
日鉄ソリューションズ(NSSOL)非開示(約2%)非開示(非開示)インドネシア、タイ
電通国際情報サービス(ISID)50億円(5%)※213億円(1%)※2インドネシア、シンガポール、タイ

 例えばその1社、TISの動きは近年活発だ。2014年のタイのSI大手MFECとの資本業務提携を皮切りに、2015年にはインドネシアのSI大手のアナバティックテクノロジーズ(Anabatic Technologies)とも資本業務提携。2016年にはタイの金融向けモバイルアプリ開発のプロンプトナウ(PromptNow)を買収した。

 2018年にはベトナムSI大手のチンバンテクノロジーズ(TinhVan Technologies)と、2019年にはシンガポールのAI(人工知能)スタートアップであるスクリームテクノロジーズ(SQREEM Technologies)とそれぞれ資本業務提携した。提携ベースで商圏を広げた結果、2019年3月期のASEAN事業規模は約570億円に達している。

 「生産年齢人口が多く、中国・インドの巨大市場と隣接するASEANの中長期的な市場成長性は高い。提携を広げて、将来的にASEANトップクラスのIT企業連合体を組織する」。TISの古庄建作企画本部海外事業企画部部長はこう意気込む。

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