「いよいよ1080億ドル(約12兆円)規模のビジョン・ファンド2が始まる。これからはビジョン・ファンド1本。投資対象はたった1つ、AI(人工知能)だ」。ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は2019年8月7日の決算説明会でこう述べ、世界のAI企業への出資意欲を改めて強調した。前例のない巨額投資に課題はないのか。

 ソフトバンクグループは2019年7月26日に投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)」の設立を発表した。米アップルや米マイクロソフトといったIT企業のほか国内のメガバンク3行などが出資。ソフトバンクグループも380億ドル(約4兆円)を拠出する。

決算説明会で投資戦略を述べる孫正義会長兼社長
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 SVF2を発表した7月時点の出資予定額は約1080億ドル(約12兆円)だった。だが決算説明会で孫社長は新たな大口投資家と交渉を続けている事実を明かし、最終的な金額がさらに増える可能性を示した。「サウジアラビアやアブダビなどからもSVF2について高い関心をいただいている。ほかにも大口の機関投資家が強い関心を持っている」(孫社長)。

 7月にSVF2を発表した際の資料には、サウジの政府系ファンドの名前はなかった。サウジはソフトバンクが2017年に設けた第1号ファンドの時には真っ先に出資に合意していたにもかかわらずだ。SVF2にサウジは出資をしないのか、なにか課題があるのかとの記者の質問に、孫社長は「良好な関係を継続している。出資額は決まっていないが詳細な条件を詰めている最中だ」と答えた。

 孫社長によれば7月に公表した出資元は、金額などの詳細が決まって基本合意書を交わしたところだけという。話し合い中のところと今後条件がまとまればSVF2は「10兆円を超える可能性がある」。発表時点で既に12兆円なのだから、正しくは「12兆円を超えるはず」だろう。2兆円は孫社長から見れば得意の「誤差」の範囲なのかもしれない。

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