三菱電機の情報技術総合研究所は、工場の作業者の動きを撮影した映像を人工知能(AI)を使って自動分析する技術を開発した。工程改善のための作業分析への適用を想定している。特殊なカメラを用いる必要がなく、誰でも簡単に分析できる。同社の実証試験では目視による作業分析に比べて、分析に要する時間を1/12に短縮できたという。2020年度の実用化を目指している。

図1 AIを使って映像から作業内容を分析する「骨紋」
(出所:三菱電機)
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 開発した新技術「骨紋」は、[1]撮影した作業映像からの骨格情報の抽出、[2]骨格情報からの学習済みAIによる作業内容の推論(作業要素推論)。[3]推論結果の誤り訂正と作業時間の算出、という流れで作業を分析する。

 [1]の骨格情報の抽出では、作業映像を1フレームごとに画像解析して首関節の位置に対する肩や肘、手首の相対的な位置情報(相対骨格情報)を算出する。映像から関節部の位置を特定する技術は既にあるが、同じ作業でも作業者の立ち位置の違いによって関節部の位置情報が影響を受ける。骨紋では首関節部との相対位置情報とすることで「立ち位置のブレをキャンセルして頑健な骨格情報となる」(同研究所監視メディアシステム技術部社会安全高信頼化技術グループの清水尚吾氏)という。

図2 骨格情報の抽出
作業画像を基に、肩や肘、手首の首関節との相対的な位置関係を算出する。(出所:三菱電機)
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 次の[2]作業要素推論は、[1]で算出した骨格情報を学習済みAIを使って分析し、何の作業をしているかを推論する。具体的には、映像の各フレームに対してAIが、あらかじめ定義した作業要素番号を割り付けていく。作業要素番号は「ラベル貼りは0番、部品取り付けは1番、シート貼り付けは2番」といった具合に、一連の作業を作業要素ごとに分割してあらかじめ番号を定義しておいたもの。また、AIには同番号をタグ付けした10回分ほどの作業映像を学習データとして、骨格情報と作業要素番号の対応関係を学習させておく。学習処理は30分程度で済むという。この学習済みAIが、映像フレームごとにどの作業要素番号かを推論していくのである。

図3 作業内容の推論
AIを使って分析対象の骨格情報が何の作業かを推論する。AIには、作業映像を学習データとして、骨格情報と作業要素番号と対応をあらかじめ学習させてある。(出所:三菱電機)
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