埼玉県越谷市と富士通はIoT(インターネット・オブ・シングズ)を活用したメロン水耕栽培の共同研究に着手した。メロンを栽培する温室内に複数のセンサーを取り付けて環境を可視化して、メロンの品質と栽培条件の関係性を検証する。

埼玉県越谷市の高橋努市長(右)と富士通の藤原隆ソフトウェア事業本部本部長。メロン水耕栽培の共同研究に取り組む
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 「農業の最も大きな課題はもうからない点だ」。2019年7月30日の記者会見に立ち会った越谷市農業技術センターの石川博規所長は共同研究に至った背景を聞かれてこう切り出した。「収益性の低さが農業従事者の減少や耕作放棄地の増加といった他の課題につながっている」と続け、作業効率を高めて収益を得る仕組みをつくることの重要性を説いた。同センターは栽培技術の試験や農業経営者支援などを通して、効率的で持続可能な農業経営を研究する越谷市の施設である。

 共同研究の目的は、質の高い、つまりもうかるメロンを安定的に生産・収穫するための栽培ノウハウを確立する点にある。共同研究を通して、越谷市は市内の農業従事者や農業に参入したい企業などに対して、メロンの水耕栽培方法や経営ノウハウを提供する。一方の富士通はメロン水耕栽培におけるデータ収集・解析システムの構築と運用を農業IoTソリューションとして展開していく。

試験温室内に設置したセンサーで集めたデータを解析し、栽培環境とメロンの品質との関係性を検証する
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 越谷市と富士通は同センターの試験温室で研究に取り組む。温室内にボードコンピューター「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」をデータ計測用として3台、データ集約用として1台設置した。

データ計測に使うボードコンピューター「Raspberry Pi」
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 データ計測用のラズパイには、温度と湿度、照度、二酸化炭素濃度を計測できるセンサーとカメラをそれぞれ接続した。1分ごとにデータを計測し、計測結果は温室内のタブレットで常時確認できるようにした。メロンの育成状況は1日1回、カメラで撮影する。

ラズパイから延びるケーブルの先に、温度と湿度、照度、二酸化炭素濃度を計測するセンサーとカメラがある
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