日本機械学会は、日本の機械技術の歴史において重要な役割を果たした「機械遺産」に「田瀬ダムの高圧放流設備」など5件を選定した。機械遺産の認定は、同学会の創立110周年を記念して2007年に始まったもので、資料の保存と次世代への伝承を目的とする。今回の13回目の認定により、機械遺産は99件となる。

 新たに機械遺産に選ばれたのは[1]田瀬ダムの高圧放流設備(第95号)、[2]新津油田金津鉱場(第96号)、[3]京都鉄道博物館の蒸気機関車と検修施設群(第97号)、[4]国産化黎明(れいめい)期の乗用エレベーター(第98号)、[5]急傾斜地軌条運搬機「モノラックM-1」(第99号)の5件。[1]~[3]は機械を含む象徴的な建造物・構造物である「Landmark」として、[4][5]については保存・収集された機械を表す「Collection」として認定する。他に、歴史的景観を構成する「Site」と、歴史的意義のある機械関連文書類「Documents」の計4分野を設けている。

 [1]は1954年に竣工した田瀬ダム(岩手県花巻市)の設備(図1)。4門ある高圧スライドゲートの1門当たりの吐出量は120m3/秒である。残された記録からは、米国製のスライドゲートを国内で初めて設置・運用するに当たり、日本側がメーカーと綿密に連絡を取りつつ理解を深めようとしていた様子が垣間見られるという。

図1:田瀬ダムの高圧放流設備
(出所:国土交通省東北地方整備局 北上川ダム統合管理事務所)
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 この努力の成果が、世界最深位置(当時)に取り付けられた国産初の五十里ダム(栃木県日光市)の放流管の施工において技術的な基礎となり、スライドゲートシステムの普及の原動力となった、と機械学会は位置付ける。さらに、高圧放流管の設計で流体力学的な機械システムの設計手順が確立されたことの意義も大きいとしている。

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