「2030年頃には売上高が1兆円に達するはず」。DMG森精機取締役社長の森 雅彦氏は、同社のプライベートショー「伊賀イノベーションデー2019」(2019年7月9~13日)に併せて開催されたグローバルパーツセンタの開所式でこう述べ、長期的に売上高が現在の2倍に伸びるとの強気の見通しを示した。

テープカットするDMG森精機取締役社長の森 雅彦氏
写真中央が森氏。同左は、ドイツDMG MORI CEOのクリスチャン・トーネス氏。(写真:日経ものづくり)
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 同社グループの売上高は2018年度に初めて5000億円を突破。だが「受注残のある2019年の売上高は横ばいだが、2020年は10~15%減になるだろう」(森氏)とする。米中貿易摩擦や中国の景気減退により業界全体として出荷台数が減りつつあるからだ。

 それでも森氏が強気なのは、同社グループの世界14工場がフル稼働すれば、現在の年産1万台前後から年産1万5000台まで生産能力を引き上げられるのに加え、「以前より高い工作機械が売れるようになってきた。平均単価は今後も上がる」(森氏)と見ているからだ。

 単価押し上げの原動力の1つは5軸加工機へのシフトと自動化である。「5軸加工・複合化」と「自動化」は今年のイノベーションデーのテーマでもある。

大型ガントリーマシン「DMU 200」「DMU 340」で加工実演
伊賀イノベーションデー2019の目玉展示の1つ。門形に匹敵する加工精度と速度を誇り、大型金型の切削加工に使えるとする。(写真:日経ものづくり)
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 5軸加工機にワークの段取りを担う多関節ロボットを組み合わせるなどの自動化やワンチャックで切削と研削、および仕上げ検査までを一気通貫で実施する複合化など、さまざまな手法を会場で披露した。森氏は自動化について「現在、出荷台数の2割程度は何らかの自動化設備が付帯している。2030年には8割程度まで高まるだろう」と大きな期待を寄せる。

AIで「切りくず」を画像認識

 イノベーションデーでは開発中の新技術や新製品を多数披露した。目を引いたのは人工知能(AI)技術の応用だ。

 例えば、2020年に実用化を予定する「AI切りくず除去ソリューション」。あらかじめ切りくずの画像を学習させたAIモデルを用いて、加工室内の2台のカメラの画像を基に、どこにどれくらいの切りくずが堆積しているかを推算。加工室内の構造などを加味して切りくずがうまく流れ落ちるような洗浄経路を自動生成する。それに沿ってノズルからクーラントを吐出して切りくずを効率的に除去する。

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「AI切りくず除去ソリューション」
切りくずの堆積状況を判断してクーラントの洗浄経路を生成(a)。加工室の天井に設置した可動式ノズルからクーラントを吐出して切りくずを洗い流す(b)。(資料:DMG森精機、写真:日経ものづくり)

 洗浄作業はクーラントで汚れやすいため作業者が嫌う作業だが、切りくずはこまめに取り除かないと加工不良や突発停止につながる。従来もあらかじめ決めた洗浄経路で自動化する機能はあったが、加工内容に応じてパターンを切り替える必要があったり、洗浄が不十分で切りくずが残ったりしていた。

 AI切りくず除去を使えば切りくず除去の確実性が高まるため、長時間の連続運転が可能になる。会場では横型マシニングセンター(MC)「NHX4000」でデモンストレーションしていた。MCや複合加工機などの自動化向けの機械を中心にオプションとして提供する。

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