6月中旬、固定価格買取制度(FIT)の「終了」あるいは「廃止」を経済産業省が検討していると新聞各紙が一斉に報道しました。これは、経産省が進めているFIT制度の抜本見直しのことを指していました。ですが、紙面に踊ったFIT制度の「終了」「廃止」といった表現が、誤解と混乱を招きました。では、なぜFIT制度は抜本見直しをするのでしょうか。その背景や見直しの方向、再エネビジネスに及ぼす影響について西村あさひ法律事務所の川本周弁護士に解説してもらいました。

(出所:PIXTA)

【質問1】 固定価格買取制度が廃止になるとの報道がありました。本当にFIT制度は廃止されるのですか。再エネへの支援はなくなってしまうのでしょうか。

【回答1】 「終了」や「廃止」といった表現で誤解されている方がいらっしゃるかもしれませんが、FIT制度がなくなるわけではありません。

 たしかに経産省は現在、FIT制度の抜本的な見直しに向けた検討を進めています。見直し後の新制度は2021年4月に施行される見通しです。しかし、見直し時点で既に認定を受け、FIT制度に基づく売電を開始している案件は、その後も残りの調達期間はなんら変わりなく、引き続きFIT制度により固定価格で買い取られます。

 今後は、特に事業用太陽光発電についてはFIT制度に代わる支援制度を導入することが予想されます。ただ、全ての再エネ電源についてFIT制度を撤廃するという話にはなっていません。

 我が国は、パリ協定の下、2030年度までに2013年度比26.0%減という温室効果ガス削減目標を国際公約として掲げています。その達成に向けて、今後も再エネの導入は不可欠であり、再エネの導入のための経済的支援の措置は今後も継続するというのが基本線です。

【質問2】 では、なぜ今見直しが検討されているのですか。

【回答2】 FIT制度は再生可能エネルギー特別措置法によって2012年度に導入されました。再エネ特別措置法の制定の際に、2021年3月31日までの間に「この法律の抜本的な見直しを行うものとする」との附則を定めました。現在進行中の抜本的な見直しの検討は、FIT制度が始まったときから予定されていた見直しなのです。

 そもそもFIT制度は、再エネの導入を政策的に拡大することで、スケールメリットや習熟効果によるコストダウンを図り、再エネの自立を促すことを目的とした制度です。コストダウンによって、再エネが火力発電やその他の従来型電源と互角に市場で競争できるようになり、いずれは再エネも自由化された市場のプレーヤーとなることが期待されています。

 FIT制度はそのような将来像が実現するまでの過渡期的な措置として設けられたのです。制度の状況をみて見直しを行うことは、当初からの既定路線です。

 もっとも、制度創設当初の想定から外れてしまった部分もあります。太陽光に偏重した導入、長期未稼働案件の滞留、さらには国民負担の増大といった諸問題に対しては、これまでも法律改正を要しない範囲で対応が重ねられてきました。今回の抜本見直しは、制度創設の当時には想定していなかった問題に対して、法律改正によって対応するという側面もあります。

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