送電線容量が不足し、再生可能エネルギーの導入に支障が生じている。これを解決するべく接続・運用方法を見直す「日本版コネクト&マネージ」の実施が決まったものの、容量不足の解消は全国で進んでいない。そうした中、東京電力パワーグリッドが画期的な運用策を打ち出した。日本の送電線運用を根底から変える可能性がある。

 5月17日、東京電力パワーグリッドは千葉県房総方面からから東京都心方面に至る送電ルートの潮流計算(シミュレーション)を発表した(東電PGのプレスリリースはこちら)。

 これまでの公式の想定潮流計算では、このルートは「空き容量ゼロ」で、再生可能エネルギーを新たに接続する余地はないと判断されてきた。

 しかし、「時間ごとに細かく見る」新たな試算方法を採用することにより、出力500万kW規模の再エネを追加連系した場合も容量オーバーはわずかにとどまり、1年間の大部分で空き容量を確保できるという結果となった。

送電線建設は10年がかり

 房総地域は再エネ資源が豊富で、東電PGには再エネの接続申込みが多数寄せられている。5月時点の申し込み総出力は1030万kWで、うち低圧事業用太陽光が60万kW、洋上風力が958万kWを占める。

 この地域で発電した再エネ電力は「佐京連系」(500kV新佐原線と新京葉線を合わせた総称)と呼ばれる送電網を通ることになるが、房総にはJERAの火力発電が集中立地しており、現状の計算ルールでは佐京連系に空きはないとされてきた。

 そのため千葉県外に送電するための電源線建設が新たに必要との結論になっていたわけだが、投資金額で800億~1300億円、完成までに9~13年を要するとされ、洋上風力開発をはじめとする房総地域の再エネ開発は暗礁に乗り上げていた。東電PGに対する申し込みの多くに対して「回答留保」という状況になっている。

房総に再エネを建設しても県外に送れない
千葉基幹系統は混雑(出所:東電PG)
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 東電PGは、現状の評価ルールである「最も過酷な断面を設定し、そのうえで平常時に混雑を発生させない」という前提ではなく、「平常時の混雑の際には出力抑制を許容し、時間断面ごとにきめ細かく空き状況を見る」という新しいアプローチで、500万kW規模の再エネを佐京連系に接続したときの想定潮流の試算を行った。

 その結果、運用容量を超えるのは1年間の全時間帯の1%程度となった。「空き容量ゼロで接続実質不可能」だったものが、「1%程度の出力抑制で直ちに接続可能」となったのである。

 発表時点でメディアなどの反応は鈍かったが、東電PGのこの発表は実は日本の送電線運用を根本から変え、欧米基準に近づく可能性をも示す画期的なものだと言える。

 送電線の空き容量ゼロ問題に端を発し、わが国では「日本版コネクト&マネージ」と称する対策を取って空き容量を増やすことが政府の有識者会議で決まった。

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