米マキシム・インテグレーテッド(Maxim Integrated)は、同社の90nmプロセス品について日本では三重富士通セミコンダクターに製造委託していることを明らかにした。300mmウエハーで製造する。2017年9月に製造を、同年12月に出荷を始めている。マキシムは90nmプロセス品を台湾の聯華電子(UMC)にも製造委託中である。

 マキシムは、三重富士通セミコンダクターに製造委託している製品として、電源管理IC(PMIC)「MAX77705」を挙げた。同製品は、1チップ(4.2×4.57mm)にスイッチングモード充電やバッテリー残量計、ハプティックドライバー、RGB LEDドライバーといった複数の機能を搭載したもの。韓国のサムスン電子(Samsung Electronics)のスマートフォン「Galaxy S9」「同 Note9」に供給している。「量産の実績を十分に確立できた」(マキシム・ジャパン代表取締役社長の林孝浩氏)と判断し、日本市場での一層の受注獲得に向けて製造委託先を公表した。

マキシムのPMIC「MAX77705」は、三重富士通セミコンダクターに製造委託している。サムスン電子のスマートフォン「Galaxy S9」「同 Note9」に採用された(出所:マキシム)
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マキシム技術・製造グループ シニアバイスプレジデントのヴィヴェク・ジャイン氏。同氏が手に持っているのは、三重富士通セミコンダクターで製造した300mmウエハー。(写真:日経 xTECH)
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 三重富士通セミコンダクターを選んだのは、「90nmプロセスのリソグラフィー工程や銅配線工程で高い技術力を持っている」(マキシム技術・製造グループ シニアバイスプレジデントのヴィヴェク・ジャイン氏)からである。顧客への長期間の安定供給を保証する観点から、製造委託先の選定では長期契約が可能であることも重視するという。

製造プロセスは自社で考える

 マキシムはここ10年ほどで、外部のファウンドリーへの製造委託を大幅に増やしてきた。具体的には、2007年は自社生産が95%、外部委託が5%と、ほとんど内製だったのに対し、2018年にはそれぞれ17%、83%と比率が逆転している。米国オレゴン州の自社工場で造っているのは、主に製品寿命の長い180nmプロセス品である。それよりも微細なプロセスを必要とする新製品については、「外部のファウンドリーを積極的に活用することで、急激な需要変動にも対応できるようにした」(ジャイン氏)。

マキシムにおける自社生産と外部委託の比率の推移。ここ10年ほどで外部委託の比率が一気に高まった。(出所:マキシム)
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 前述の通り、90nmプロセス品を製造委託しているのは三重富士通セミコンダクターとUMCだが、180nmプロセス品や400nmプロセス品については力晶半導体(Powerchip)、セイコーエプソン、イスラエルのタワーセミコンダクター(Tower Semiconductor、ブランド名はTowerJazz)の米国テキサス州の工場に製造委託している。ちなみに、タワーセミコンダクターの工場は、2016年に同社がマキシムから買い取ったものである。この他、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)にも製造委託している。

 ただし、マキシムはファウンドリーに製造委託する場合でも、原則として製造プロセスは自社で開発するという。そうすることで、製造開始後も継続的に品質や生産性を改善し、複数のファウンドリーに製造委託したときに改善の成果を横展開しやすくなるからである。自社工場でパイロットラインを構築してからファウンドリーに量産ラインとして移植する場合と、最初からファウンドリーと一緒に量産ラインを構築する場合があるという。三重富士通セミコンダクターに対しては、後者の手法を取った。

 唯一の例外は、TSMCに製造委託する場合である。同社は、PDK(Process Design Kit)の設計ルールに沿った半導体しか受託しないため、前述のような手法は取れないという。

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