開発した電源回路を搭載した試作機(写真:ダイヤモンド電機)
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 パワーエレクトロニクス製品などを開発しているダイヤモンド電機は、電解コンデンサーを全く使わない電源回路技術を開発した(図1)。

 EV(電気自動車)用充電器や蓄電システム、太陽光発電システム用パワーコンディショナー(パワコン)、インバーター式エアコン、LED照明器具への搭載を見込む。電解コンデンサーは、大容量品の価格が安いものの、特に高温下での寿命が短く、機器の寿命や故障頻度を決める主因となっている。

図1 GaN搭載の電源回路で電解コンデンサーをなくした電源
体積は59.7mm×95.5mm×11.55mm(取り付け部を除く)で、同仕様の従来品よりも15%小さく、高さは約70%低い。出力電力は最大1kVAである。DCバス電圧範囲は300~400V。最大動作環境温度は85℃で、今後105℃へ変更予定だ。スイッチング回路にはGaN(窒化ガリウム)を採用した。静電容量は既存品の約14%の50µFに抑えている。上掲の写真の試作品には、文庫本サイズ(幅104 mm、長さ146 mm、高さ32 mm)に最大電力1kW(入力は50/60Hzの交流100/200/220V、出力は直流200~400V)の絶縁双方向充電システムを収めた。(写真:ダイヤモンド電機)
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平滑用コンデンサーをなくす

 同社は、DC-DCコンバーターの前段などに置く電圧平滑用コンデンサーをなくした(図2)。代わりに、交流の変動を打ち消す電圧を供給する補償回路を採用し、この回路内で必要なコンデンサーの容量を大幅に減らした上で積層セラミックコンデンサー(MLCC)を使った。既存の平滑用コンデンサーは、初めに交流の脈動を吸収してDC-DCコンバーターでの平滑の負荷を減らす。今回の技術では、補償回路で平滑をすべて担う。平滑しきれない電圧変動は補償回路内に少し現れるため、これを積層セラミックコンデンサーで吸収する。

図2 既存の電源回路に置いている電圧平滑用コンデンサー
(a)車載充電器のように交流を直流に変換する既存のAC-DCコンバーターではDC-DCコンバーターの前段に電圧平滑用コンデンサーを置く。写真の赤枠部分が大きなスペースをとっている電解コンデンサー。(b)蓄電システムなどのように直流を交流に変換する既存のDC-ACコンバーターではDC-DCコンバーターの後段にコンデンサーを置く。PFCは位相を調整して無駄な電力消費を抑える力率改善回路である。(図:ダイヤモンド電機)
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 既存の回路で交流100Vなどを直流に変換するには、一般に耐圧450V以上といった高耐圧で大容量の仕様が求められる。安価な上、高耐圧で体積当たりの静電容量が大きな製品が豊富なAl(アルミニウム)電解コンデンサーが採用される。機器によっては、高さ10mm超の電解コンデンサーを10~20個搭載している(図2)。これをそのまま積層セラミックコンデンサーに置き換えると、2倍近くの体積が必要になって、現実的ではなかったという。コストもかさむ。

 今回の補償回路に必要なコンデンサーの容量は、開発品の場合に既存の平滑用コンデンサーの約14%(合計50µF)とわずかだ。積層セラミックコンデンサーへの代替で増える体積やコストは抑えられる。

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