「Transducers(International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems)」は、MEMS(微小電子機械システム)に関する世界最大の隔年開催の国際会議だ。2019年6月23~27日に第20回の「Transducers 2019」がドイツ・ベルリンで開催された。約650件の論文から、東北大学教授の田中秀治氏が最新のトレンドを解説する。同氏は、「車載センサー・IoTデバイスに革新をもたらすMEMS技術」の講師を務めるなど、この分野の第一人者である。圧電材料のPZTを使ったMEMSに変化が見られ、応用範囲は広がりつつあり、既存デバイスを置き換える可能性がある。製造受託最大手の台湾TSMCは、PZT MEMSの技術力を着実に蓄え始めた。(日経 xTECH)

 圧電材料のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)薄膜を使ったMEMSは日本のお家芸である。代表的なPZT MEMSは、インクジェットプリンターヘッドとジャイロスコープだ(図1)。ざっくりと言って、これらが実用化してから10~15年がたっている。その間にも様々なPZT MEMSに関する研究が進んだものの、新しい応用の実用化という意味では長いトンネルが続いていた。

図1 従来のPZT MEMSの例
ここで挙げた6例のうち5つは日本製である。(写真と図:各社のデータ)
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 MEMSは、一般にセンサーとして小型化の利点を発揮できる一方、アクチュエーターとしては発生力または変位が不足する。その中にあって、PZT薄膜アクチュエーターは、静電方式または電磁方式と比べてパワー密度において有利である。それでも期待されてきたほとんどの応用で、発生力または変位がそもそも不足するか、無理して動かそうとすると信頼性に問題が生じるかしていた。そのためアクチュエーターとして成功したPZT MEMSは、長らくインクジェットプリンターヘッドしかなかった。

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