「今は身構えるときだ」──。シチズンマシナリー(本社長野県・御代田町)社長の中島圭一氏が、現在の工作機械市場をこう語る。「怖いほどの好況」と表現した2018年10月から、わずか9カ月後で工作機械の市況はガラリと変わった。何が起きているのかを同社長に聞いた。

現在の工作機械事業の状況はどうなっているか。2018年10月の時点では「空前の好況」で、世界の5極〔日本、米国、欧州、中国、アジア(中国を除く)〕の全てにおいて、全業種(自動車、半導体製造、医療、建設機械、電子部品)で好調と聞いた。

中島氏:日本工作機械工業会が発表している工作機械の受注トレンドの通り、落ちている(2019年6月の受注額は前年同月比で38%減の988億円)。残念ながら、世界の5極のうち良い所は特にない。どこも似たり寄ったりで下がっている。

 第29回日本国際工作機械見本市「JIMTOF2018」(2018年11月1~6日)で秋風が吹いたころから潮目が変わった。我々の顧客の状況もそうだし、他の工作機械メーカーの状況もそうだ。

原因は何か?

中島氏:別にこれといった原因はなく、いろいろな要因が絡み合っていると思う。米国のトランプ大統領による米中貿易摩擦や、工作機械や景気のサイクル、欧州のブレグジットの問題などが複雑に影響を及ぼしている。半導体製造装置の需要も2018年11月ごろに急にぴたっと止まり、いまだに生産調整が続いている。

日銀の短観には疑問符

需要が好調な分野はないのか?

中島氏:日本銀行が2019年7月1日に同年6月の短観(全国企業短期経済観測調査)で、「製造業の8割が2019年度に設備投資を拡大する計画」と発表した。だが、我々の“肌感覚”ではそうは感じられない。

 我々は全国に拠点があり、常に顧客とコミュニケーションを取って仕事や景気の状況を聞いている。それによると、昨年(2018年)の同時期に比べて設備稼働率が下がっているという声が多い。先日も国内の営業部長から名古屋エリアの状況を聞いたが、やはり、設備稼働率が下がってきているという話だった。こうした肌感覚と、日銀短観との間にはギャップがあって腑に落ちないところがある。

 堅調と言えるのは、医療関係だ。内視鏡や歯科医療器具、手術器具などである。これらは半導体製造装置や空圧機器に比べると変動幅が小さい。長い目で見ると安定して伸びている。とはいえ、急に伸びているというわけではない。今は、他が落ちている中で横ばいといったところだ。

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図1●シチズンマシナリー代表取締役社長の中島圭一氏
2018年10月に軽井沢本社で撮影したもの。(写真:日経 xTECH)

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