インターネットイニシアティブ(IIJ)は2019年6月、法人向けMVNO(仮想移動体通信事業者)ビジネスの強化策として「SoftSIM(ソフトシム)」の本格提供を始めた。SoftSIMは物理的なSIMカードを使わず、通信モジュールにソフトウエアとしてSIM機能を加える技術である。

左から、SoftSIMを内蔵した通信モジュール、チップ状のSIM、通常のSIMカード
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 SIMカードの頻繁な抜き差しがしにくく、遠隔地から契約情報を管理する必要性が高いIoT(インターネット・オブ・シングズ)用途を中心に拡販を図る考えだ。第1号ユーザーとして6月にワブコジャパンがトラックの車両管理サービスに採用した。同社は商用車部品大手、ベルギーワブコ(WABCO)の日本法人である。

 IIJは個人向けでもSIMカードを使わない「eSIM」の提供に乗り出している。同社は個人向けと法人向けと両方で、NTTドコモやKDDI、ソフトバンクの携帯大手3社にはない独自のサービスを提供し、3社には満たせないニーズを満たす戦略を推進している。

 eSIMやSoftSIMを担当するIIJの中村真一郎MVNO事業部副事業部長は「我々は常に、既存キャリアとは一味違うサービスを提供したいと考えている。SoftSIMは特にIoTに取り組む法人のニーズに適合しやすい」と説明する。

SIMチップすら省くSoftSIM

 そもそもSoftSIMとは何か。カードやチップを使うことなく、4G LTEなどの通信モジュール内の仮想マシンに、ソフトウエアでSIMの機能を実装するのがSoftSIMだ。

 一般的なSIMに格納される電話番号や接続先電話会社、契約情報などの通信用プロファイルデータをモジュール内に格納する。通信用プロファイルは通信網を通じて遠隔地から書き換えられる。一般の携帯電話機のように物理的なSIMカードがないため、通信用プロファイルを変更する場合でも差し替えの必要がない。SIMカードの装着や回収の手間がなくなるため、大量のIoT機器で通信機能を使いたい場合に重宝する。

 ここまでのSoftSIMの特徴は、個人向けで広がり始めたeSIMと似ている。eSIMも物理的なSIMカードは使わない。SoftSIMとeSIMの違いとして、eSIMはSIMカードに代わるSIMチップが存在するのに対し、SoftSIMはSIMチップすら存在しない点が挙げられる。

 この点は、スマートフォンやPCなどの機器で使う場合はさほど大きな違いにならない。だがIoT機器を設計する際に、SoftSIMを使ったほうが通信モジュールやそれ以外の機器も含めた機器設計の柔軟性が増す場合がある。

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