あらゆるものがネットにつながる「IoT(インターネット・オブ・シングズ)」の普及が進んでいる。総務省の通信白書によると2017年の世界のIoTデバイス数は275億個で、その後も増え続け2020年には403億個とさらに拡大する見通しだ。

 通信する自動車「コネクテッドカー」やスマート工場でのセンサーによるモノの管理などが主な用途になるという。その一方で、普及によってデバイスや通信コストが安くなり、身近なところでIoT事例が増えてきた。

ビーコンを受け取ってもらえないことも

 そんな例の1つが「富士山チャレンジ」だ。富士山の登山者に電波を発するセンサーを持ってもらい、登山状況を把握する目的で実施している。

 「登山者がどこを何人通っているかといった混雑状況を把握したり、毎年20万人を超える富士山において、万が一の災害時に的確な避難誘導を行ったりするために使う」。センサーで集めたデータの使いみちについて、一般社団法人富士山チャレンジプラットフォームの福崎昭伸氏はこう説明する。福崎氏は2019年7月4日に開催されたインターネットイニシアティブ(IIJ)主催のIoT事例発表セミナーで登壇した。

一般社団法人富士山チャレンジプラットフォームの福崎昭伸氏
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 富士山チャレンジでは、登山者にビーコンと呼ぶセンサーデバイスを持ってもらい、ビーコンが登山途中にある複数の山小屋に設置したレシーバーと通信することで位置を把握する。レシーバーは携帯回線でクラウドサーバー上にデータを送る。2018年夏には1万5000人の登山者にビーコンを配布し、実証実験に取り組んだ。

登山者に配るビーコン
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 一般にIoTを導入すると「現場ならでは」の課題が出てくる。富士山チャレンジでも「ビーコンを警戒して受け取ってもらえない」「高価なビーコンを誤って持って帰られてしまう」という課題があった。

 「私のような大人ではなく、登山口で学生のボランティアに手伝ってもらったら受け取る人が増えた」と福崎氏は振り返る。富士山の開山シーズンに合わせて2019年8月も1万2000人を対象に実施予定で、位置把握に加えて登山者の持つスマホに場所ごとで情報を提供する仕組みも考えているという。

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