三菱自動車は、SUV(多目的スポーツ車)「エクリプス クロス」に搭載した新型ディーゼルについて、フリクション(摩擦)を最大で27%低減するなど、同社にとって大幅な改善を施したことを明らかにした(図1、図2)。エクリプス クロスのディーゼルモデルは、2019年6月にラインアップに追加したモデルだ。デーゼルエンジンの型式は4N14型と同社従来のモデルと変わらないものの、エンジンのほとんどの部品を新規に開発したという。

 改善策の多くは、既に他メーカーが採用している技術だ。ディーゼルエンジン搭載車の登場に合わせて、燃費の改善や熱効率の向上をてこ入れした。今後厳しくなる欧州での排ガス規制への対応も見据える。

 なお、エクリプス クロスに搭載したディーゼルエンジンは、2019年2月に販売を開始したデリカD:5に搭載したものと同じものだ。新型のディーゼルエンジンは、この2車種で採用されている。

図1 エクリプス クロスのフロントビュー
エンジンは排気量が2.3Lの4気筒ディーゼルエンジン。最高出力は107kW。最大トルクは380N・m。サイズは、全長4405×全幅1805×全高1685mm。ホイールベースは2670mm。(撮影:日経Automotive)
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図2 エクリプス クロスのリアビュー
(撮影:日経Automotive)
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 エンジンの改善は主に3つある。1点目は、エンジンのフリクションを改善し、熱効率を向上したことだ。同社従来のディーゼルエンジン(4N14型)との比較で最大27%摩擦を低減した(図3)。

 フリクションを改善するために、いくつか見直した。例えば、シリンダーヘッドの加工方法として、ダミーヘッドボーリングを採用した。シリンダーヘッドとシリンダーブロックを組んだ状態で加工して、真円度を出す手法だ。

 シリンダーヘッドとブロックは組み立てる際に5~10トンの力で締めつける。その際、シリンダーの形状がわずかに楕円状に変形する。これを防ぐために、ブロックの製造時にあらかじめ同等の力で加圧しておくことで、組み立てた際にシリンダーの形状が真円状になるように加工する。

 シリンダーの形状をより真円状にしたことで、ピストンリングの緊迫力も変更した。ピストンリングはピストンとシリンダーの壁面の隙間を塞ぎ、燃焼ガスが吹き抜けないようにする役目を持つ。シリンダーの形状が真円に近ければ近いほど、隙間を防ぐための緊迫力を下げられることから、ピストンリングとシリンダーの壁面の間に生じる摩擦を低減できる。

 ピストンの形状も見直した。高さを短くしたうえに、ピストンがシリンダーに接触する面積を減らすような形状に変更。ピストンが傾くことで生じる摩擦を少なくした。

 この他、主運動系の部品も見直した。ピストンと軸受けピン、コンロッド、クランクシャフトをそれぞれ軽量化。4気筒分合わせて、約20%削減に当たる4kg弱を軽減した。主運動系の部品を軽量化することでピストンの振動を小さくして、摩擦を低減する。

図3 フリクションを最大で27%低減
(出所:三菱自動車)
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