楽天メディカル(米Rakuten Medical)は、がん治療のための治療薬と医療機器を開発するバイオベンチャー企業だ。楽天の代表取締役会長兼社長最高執行役員である三木谷浩史氏が、同社の会長兼最高経営責任者(CEO)を務める。楽天メディカルはこのほど、都内で事業戦略説明会を開催し、三木谷氏ががん治療薬「ASP-1929」の開発への意気込みを語った。

 説明会で三木谷氏は、「楽天メディカルは、研究から商用までを一気通貫で行う総合的なバイオベンチャーを目指している」と強調した。多くのバイオベンチャーは、開発途中で大手の製薬企業に開発品の権利を売ることを目標にしている。臨床試験を最後まで手掛けると莫大な開発費がかかり、ベンチャーにとっては資金繰りが難しいからだ。だが楽天メディカルは、「資金を含めた事業推進力が強み」(三木谷氏)としており、実用化までを自社で進める方針。説明会で三木谷氏は、楽天からの出資比率を約20%に高める方針であることを明かした。

父親の膵臓がんがきっかけで開発に関わる

 三木谷氏ががん治療の開発に関わるようになったのは、2012年に自身の父親が膵臓(すいぞう)がんを患ったことがきっかけだ。膵臓がんは、がんの中でも特に治療が難しいとされ生存率が低い。父親のために世界中で治療法を探していた際、米国立衛生研究所(NIH)の小林久隆氏と出会い、小林氏のがん治療の研究に対して個人的に支援することを決めた。

(写真:日経 xTECH)

 三木谷氏は、小林氏の研究成果の開発を進めていた米アスピリアン・セラピューティクスに個人で出資し2016年に会長に就任。2018年にも出資を行い、会長兼CEOに就任した。2019年3月にアスピリアン・セラピューティクスの社名を楽天メディカルに変更した。

 「小林氏から、斬新かつ論理的な説明を受け、これは可能性があるのではないかと思った」(三木谷氏)。さらに、「提示された開発スケジュールでは、父親の治療には間に合わないかもしれないと思った。だが、将来実用化して、多くの人を助けられたら父も喜ぶと思い、プロジェクトの全面的な支援を決めた」(三木谷氏)。

 三木谷氏の強い思いは開発中の医薬品の開発番号にも表れている。開発番号「ASP-1929」の1929は、三木谷氏の父親の生まれた年と同じだという。

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