「複雑化、ブラックボックス化したシステムを抱え続ける企業は2025年以降、崖から真っ逆さまに落ちてしまう」――。

 経済産業省の大崎美洋商務情報政策局地域情報化人材育成推進室長は2019年7月4日、日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対する危機感を改めて訴えた。大崎室長は情報処理推進機構(IPA)が主催した「これからの人材のスキル変革を考える~DX時代を迎えて~」と題するセミナーに登壇した。

セミナー会場の様子、ITベンダーやユーザー企業などから100人以上が集まった
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「5年で競争力が尽きる」が半数

 システムの老朽化に起因するトラブルやデータ消失のリスクが高まり、2025年以降、最大で年間12兆円の経済損失が発生する――。経産省が「2025年の崖」を提唱してから1年弱、日本企業はどう変わったのか。

 これに対し、ITコンサルティングを手掛けるチェンジの高橋範光執行役員が登壇し、東証1部上場の1000社を対象に2018年12月に実施した、DXに対する危機感や取り組みに関する調査結果を発表した。IPAから委託を受け、同社とみずほ情報総研が調査を担当し、92社から回答を得た。

 AI(人工知能)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)といったデジタル技術の力で様々な製品やサービスが生まれるなか、「現在の競争力を維持できる年数」を聞くと、51.1%の企業が「長くても5年後まで」と答えた。既存ビジネスの変革や新しいビジネス創出の必要性を「非常に強く」感じていると答えた企業は全体の63%で、「ある程度強く感じている」と答えた企業を合わせると全体の91.3%に上った。

 しかし社内でDXという用語を使っている企業は全体の約3分の1にとどまった。DXに取り組む企業に対してその内容を聞いたところ、「業務の効率化による生産性の向上」が最も多く78.3%だった。「DX本来の目的に近い」(高橋執行役員)とされる新製品や新サービスの創出に取り組む企業は47.8%と半数以下にとどまった。

 業務効率化による生産性向上に対して「既に十分な/ある程度の成果が出ている」と答えた企業は全体の28.2%だった。「DXの必要性を感じているものの、取り組みとしては業務の効率化にとどまっており成功例も少ない」。高橋執行役員は、日本のDXは萌芽(ほうが)期にあると位置付けた。

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