日本が初めて議長国となった20カ国・地域(G20)首脳会議は2019年6月29日、首脳宣言を採択して閉幕した。IT分野では「データの潜在力を最大限活用するため、国際的な政策討議を促進する」という文言を盛り込んだ。

 米中貿易摩擦で世界経済の減速が懸念される中、日本はいわば「中継ぎ役」として国際協調に向けた議論のバトンをつないだことが成果と言えそうだ。日本が強調した成果とは裏腹にデータ流通やデジタル課税といったIT分野の国際ルール作りはこれからが本番だからだ。

G20閉幕後の議長国記者会見で成果を語る安倍晋三首相
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安倍首相は成果を強調したが…

 安倍晋三首相は閉幕後の議長国記者会見で、プライバシーやセキュリティーを保護しながら国境を越えたデータの自由な流通を確保する国際的なルール作りを目指す議論の枠組みを「大阪トラック」と名付けて、「世界貿易機関(WTO)改革の流れにも新風を吹き込むもの」と成果を強調した。

 首脳宣言には、安倍首相が2019年1月の「世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)」で提案した「信頼性ある自由なデータ流通(データ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト)」という概念を盛り込み、人間中心の人工知能(AI)を実現する環境作りに取り組むとした拘束力のない「AI原則」を付属文書としてまとめた。

 もっとも、日本が名付けた大阪トラックという名称そのものは首脳宣言に登場しない。2019年1月にダボス会議で78カ国・地域がWTOの改革に向けて電子商取引に関する国際的なルール作りを進めるとした共同声明について、首脳レベルで初めて確認したという位置づけだ。2019年7月に予定するWTO電子商取引有志国会合や、2020年6月の第12回WTO閣僚会議までの交渉で「実質的な進捗を達成する」とした。

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