政府は、全国にある信号機を5G(第5世代移動通信システム)の基地局向けに開放する方針を決めた。2019年6月14日に閣議決定した「IT戦略(世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画)」に盛り込んだ。2023年度からの開放を目標に、早ければ今夏にも関係省庁による検討会を立ち上げる。

 信号機は全国に約20万8000基あるが、通信で遠隔制御できるのは3割程度にすぎない。政府は信号機の空きスペースを通信事業者に貸し出すと共に、5Gを活用して信号機の高度化を進める考えだ。集中制御できる信号機を増やし、交通情報の収集や自動運転への活用を検討する。

政府は信号機の開放などを骨子とした5G普及促進策を策定した
(出所:IT総合戦略本部)
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 5Gインフラの一部は自治体にも開放し、災害時に役立てる考え。今回の取り組みは、公共施設を大規模に民間に貸し出し、政府や自治体も便益を得るという「一挙両得」を狙ったIT政策のモデルともいえる。

電話線で止まっていた信号機の高度化

 信号機は警察庁が管轄し、設置は各都道府県の財源で公安委員会が担当している。検討会には内閣官房IT総合戦略室や警察庁のほか、通信政策を担当する総務省、都道府県の関係者などが参加を予定する。国道を管理する国土交通省の参加も検討している。

 検討のポイントは、行政分野における5Gの多目的利用だ。各都道府県警が持つ管制センターは収集した交通情報を基に信号機の切り替えサイクルを変えるなど集中制御しているが、対応するのは全体の3割程度にとどまる。通信手段も電話線を用いており、災害時には断線の恐れがある。

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