リコーと日本将棋連盟は2019年6月20日、AI(人工知能)技術を使って棋譜を自動生成する新システムを開発したと発表した。棋譜はどの駒を盤面のどこに置いたかを一手ずつ記録した、いわば対局の「ログ」である。盤面を真上からカメラで撮影し、駒の動きをコンピューターが自動認識して棋譜を作る。

棋譜をAIに認識させるため、将棋の盤面をカメラで上から撮影する
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 棋譜は現状、対局に立ち会う「記録係」が手書きで記録し、それを電子データ化して保存している。今回の取り組みは、表面的には棋譜記録にかかる手間をAIを使って省くだけに見えるが、実は「将棋界の危機を救うのでは」(関係者)という大きなインパクトがある。

若手棋士の進学で人手不足に

 その答えは、会見での日本将棋連盟佐藤康光会長の発言にある。「日本将棋連盟では記録係が不足している。このままの状態でどうしていくのか」というものだ。

日本将棋連盟の佐藤康光会長
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 記録係は基本的に奨励会会員というプロ棋士を目指す若者や女流棋士が担当する。奨励会員は高校や大学に進学するケースが増えており、平日は時間が取れないケースが多く、人手不足が深刻なのが現状だ。

 対局は年間3000局ほどあるが、藤井聡太七段の活躍などで将棋人気が高まり、対局数は増加傾向にある。全対局に記録係を確保するのはますます難しくなっている。

 「対局を土日に偏らせたり、空いている人がいないかと電話をかけたり、記録係を探すのに相当な人手をかけている」。日本将棋連盟の鈴木大介常務理事はやりくりに苦労している実態をこう話す。

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