東芝デバイス&ストレージは、クルマの電動化などで利用されるパワー半導体である、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)・IEGT(電子注入促進型IGBT)の回路シミュレーションモデルを開発した(ニュースリリース)。よく知られた既存のモデルに比べて、パワー半導体の応用回路を高精度でかつ高速にシミュレーションできるため、例えばクルマのモーター周りの開発が加速される。同社は、今回のモデルをパワー半導体事業で顧客へのアピールポイントにする考え。

開発したモデルによって、シミュレーション値の実測に対する誤差は、ターンオン特性とターンオフ特性の双方で大幅に改善された。東芝デバイス&ストレージの図
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 同社によれば、IGBT・IEGTの回路シミュレーションモデルとしては、これまでKrausモデルが主流だったという。ただし、Krausモデルを使った場合、シミュレーション値と実測値に乖離(かいり)が生じることが多く、シミュレーション値を使って設計した回路を実装すると、予測していないEMI雑音が発生してしまったという。これを防ぐための、抵抗を挿入すると、今度は電力効率が落ちるジレンマがあったとする。

 そこで、今回、東芝デバイス&ストレージは、Krausモデルに代わる新たな回路シミレーションモデルを開発した。開発したモデルを使うことで、ターンオフ損失のシミュレーション値の実測に対する誤差は20分の1以下に改善した。シミュレーションの精度が上がっただけではなく、シミュレーションの実行時間も短縮した。同社によれば、30分の1以下に短縮できるとのことである。同社は今回の技術の詳細を中国・上海で開催されたパワー半導体の国際学会「31st IEEE International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs(ISPSD 2019)」(5月19~23日)においてポスター発表した。タイトルは「High Accurate IGBT/IEGT Compact Modeling for Prediction of Power Efficiency and EMI Noise」(ポスター番号 P2-1)。

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