皮膚科医と連携して医療用デジカメ開発、消費者向けデジカメ撤退のカシオ

2019/06/21 05:00
河合 基伸=日経 xTECH/日経デジタルヘルス

 カシオ計算機は2019年5月27日、皮膚科医向けデジタルカメラ「DZ-D100」を発売した。同社はその1年ほど前の2018年5月9日に、販売が低迷していたコンシューマー向けのデジカメ事業からの撤退を表明していた。樫尾和宏社長は当時、「今後も新しい領域の製品を生み出す」と話し、コンシューマー向けデジカメで培った技術を活用した新事業創出に意欲を見せていた。その言葉通り、コンシューマー向け製品を開発してきた技術者たちが、皮膚科医と連携しながら医療用デジカメという新たな分野の製品を完成させた。

皮膚科医向けカメラ「DZ-D100」とオプションのアダプター
(撮影:日経 xTECH)
クリックすると拡大した画像が開きます

 「顧客から直接要望を聞いたり、フィードバックを得られたりできる。こんな世界があったとは」――。医療用デジカメの開発に携わったハードウェア開発部 第五開発室 アドバイザリー・エンジニアの大塚浩一氏は、コンシューマー向け製品との開発手法の違いに驚きを隠さない。

 消費者の使い方は多種多様で、要望も多岐にわたる。その中から製品に盛り込む機能を選択していくため、「どうしても公約数的な開発にならざるを得なかった」(大塚氏)。一方、今回の医療用デジカメでは、唯一のユーザーである皮膚科医と密接に連携して要望を聞き改良もできる。顧客の顔が見える開発に「やりがいを感じる」という。

 実際にDZ-D100は、皮膚科医が必要とする機能をふんだんに盛り込んだ。皮膚科医は皮膚にレンズを近づけて撮影したり、患部周辺を含めた全体を撮影したりする。両者を簡単に撮影できるように、レンズを交換しなくても接写と全体の撮影を容易に切り替えられるようにした(関連記事)。皮膚の表面や内部を観察するための「偏光」「非偏光」「UV」という複数の撮影も、撮影ボタンを1回押すと連続でできるようにした。いずれもカシオ計算機が歴代のコンシューマー向けデジカメの開発で培ってきた、レンズ技術や小型化技術、高速連写技術、画像処理技術などを活用したものだ。

撮影ボタンを1回押すと「偏光」「非偏光」「UV」などの撮影を連続でできる
(撮影:日経 xTECH)
クリックすると拡大した画像が開きます

 操作性や持ちやすさも追求した。撮影時間を短くして診察時間を確保するために、不要な操作ボタンを簡略化するとともに、皮膚科医がよく使うという画像の明るさを調整するボタンを設けた。さまざまな場所にある病変を撮影しやすいように、グリップなどの形状も工夫した。この他にも「指の間など狭いところも撮影したい」「立体的なほくろを撮影したい」「顕微鏡の画像も撮影できないか」といった皮膚科医の要望に徹底的に応えるために、オプション品のアダプターを用意することにした。

皮膚科医向けカメラの光学ユニット。
「偏光」「非偏光」「UV」の連続撮影ではフィルターやライトが自動で切り替わる(出所:カシオ計算機)
クリックすると拡大した画像が開きます

この先は日経 xTECH登録会員(無料)の登録が必要です。

お知らせ

ピックアップPR

もっと見る

記事ランキング