トヨタ自動車が、電気自動車(EV)専用プラットフォーム(PF)を開発する。2021年後半~22年前半に量産するとみられ、出遅れるEVに本腰を入れた。EVとハイブリッド車(HEV)の“2本立て”で、厳しくなる環境規制に臨む。PF開発では、先行するVWを強く意識する。

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トヨタが試作したEVの外観。写真の車両は、CセグメントのSUVを想定したもの。(撮影:日経 xTECH)

 環境規制には、大きく2種類ある。販売した車両の平均燃費で規制する「CAFE(企業別平均燃費基準)」と、EVや燃料電池車(FCV)の販売か生産を一定比率で求める「ZEV(ゼロエミッション車)規制」である。

 トヨタは2030年にかけて、「ZEVよりCAFEがものすごく厳しくなる」(同社副社長の寺師茂樹氏)と見る。かねてEVはZEV規制対応にとどめて、プラグインハイブリッド車(PHEV)を含むHEVがCAFE規制対応の主力と考えていた。だが今後はEVの位置付けを高めて、EVとHEVの“2本立て”でCAFEに臨む方針である。

 特に意識するのが、2030年までに乗用車の二酸化炭素(CO2)排出量を2021年比で37.5%削減する欧州規制である。2019年3月に決まった。現在の燃費を「ほぼ半分にする規制」(寺師氏)で、生半可な対策で乗り切れない。トヨタが得意のHEVとPHEVだけでは、対応しきれない可能性がある。EVに白羽の矢を立てた格好だ。

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2025年に100万台近いEVを販売する目標を掲げた。従来の想定を5年前倒しした。(出所:トヨタ)

 トヨタはEVの販売目標として2030年に100万台程度を掲げていたが、5年前倒しすると決めた。「HEVでできる限り(CAFEに)対応して、足りない分をEVとPHEVで対応する」(寺師氏)と話し、HEVが主軸であるのは維持しつつ、EVも積極的に活用する。

VWに約2年遅れて専用PFを量産

 トヨタのEV戦略の中核を担うのが、開発中のEV専用PF「e-TNGA」である。設計の基本方針は、EV開発で先行するドイツ・フォルクスワーゲン(VW)グループに似ている。トヨタがEV販売を増やす上で、VWは強く意識せざるを得ない好敵手になる。

 HEVとEVでCAFE規制に備えるトヨタに対して、VWはEVの“一点突破”に映る。その分、VWのEVにかける意気込みは強く、トヨタに先駆ける2019年末に、EV専用PF「MEB」の量産を始める。

 トヨタが専用PFを使ったEVを量産するのはVWの約2年遅れになりそうで、販売面で後塵を拝するだろう。遅れる時間でVWのPFを研究して、上回る性能を目指す。

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