オムロンは、電力系統が不安定な状況に陥った影響を受けて太陽光発電システム用系統連系インバーター装置の制御が不安定になる現象を防止する技術を開発し、2019年5月20日〜23日に島根県松江市で開催されたDC(直流)マイクログリッド関連の国際会議「The 3rd IEEE ICDCM(International Conference on DC Microgrids)」で発表した(関連記事)。なお、同技術は今回、「The 3rd IEEE ICDCM Best Paper Award」を受賞した。

 電力系統(送配電線)が不安定な状況に陥るということは、すなわち送電線のインピーダンス(グリッド・インピーダンス)が変化することを意味する。グリッド・インピーダンスの変化を招く原因は、大きく2つある。1つは、各需要家における電力使用量の変化である。各需要家の電力使用量は、時間とともに増えたり、減ったりする。その結果、送配電線から供給を受ける電流量が時々刻々と変化する。

 もう1つは、送配電線に接続される太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー発電所の増減である。こうした2つの原因によって、電力の経路が変わり、グリッド・インピーダンスが変化するわけだ。

図1 グリッド・インピーダンスが変化する原因
電力系統に接続される系統連系インバーター装置(PCS、パワーコンディショナー)が増えることで、電力経路が変わり、グリッド・インピーダンスが変化する。(出所:オムロン)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうしたグリッド・インピーダンスの変化は、太陽光発電システムなどに向けた系統連系インバーター装置の動作に悪影響を与える。一般に、系統連系インバーター装置の出力を安定化させるフィードバック制御系の伝達関数を求めると、通常動作時は問題のない利得特性と位相特性が得られる。しかし、グリッド・インピーダンスが大きくなると、利得特性に共振現象が発生する。この結果、系統連系インバーター装置は制御不安定な状況に陥る危険性が高まる。最悪の場合、電力系統から切り離されてしまう。

図2 系統連系インバーター装置の制御が不安定に
グリッド・インピーダンスの変化によって、系統連系インバーター装置の出力電圧を安定化させる制御系が不安定になる。具体的には、フィードバック制御ループのボード線図(利得、位相)において共振現象が発生している。(出所:オムロン)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら