直流(DC)による配電や給電の導入例が世界的に急増している。その背景にあるのは、交流(AC)から直流に切り替えれば、電力損失を削減できることにある。使用する条件によって違いはあるが、「10〜20%の損失削減が可能」という。2019年5月20日〜23日に島根県松江市で開催されたDC(直流)マイクログリッド関連の国際会議「The 3rd IEEE ICDCM(International Conference on DC Microgrids)」では、世界各地で進む、直流給電/配電の導入プロジェクトが数多く紹介された(関連記事)。具体的には、日本やオランダ、米国、デンマーク、韓国、中国、英国(スコットランド)などの研究者から発表があった。

北海道胆振東部地震を停電なしで乗り切る

さくらインターネット 代表取締役社長の田中邦裕氏が登壇
北海道胆振東部地震における石狩データセンターのDCマイクログリッドの貢献について講演した。

 日本からは、データセンター事業者であるさくらインターネットの代表取締役社長を務める田中邦裕氏が登壇した。同社は、日本国内の3カ所にデータセンターを設置しているが、その1つが北海道の石狩市(石狩データセンター)にある。2018年9月6日の北海道胆振東部地震では大規模な停電が発生したが、データセンターを止めることなく、送電再開まで乗り切れた。そこにDCマイクログリッドが大きく貢献したという。

 石狩データセンターは2011年に開設された。340Vや380Vといった直流電圧で給配電するHVDC(High Voltage Direct Current)方式が採用されている。「HVDC方式を採用することで、交流方式に比べて、変換効率を10〜20ポイント高められる。さらに構成部品を削減できるため、故障を減らせる」(同氏)という。

 2018年9月6日の午前3時7分に発生した地震で、電力系統から石狩データセンターへの電力供給はストップした。発電機を備えていたため、データセンターは停電しなかった。しかし燃料は48時間分しかない。電力供給が2日後に再開しなければ、データセンターはダウンしてしまう。しかも、外部から燃料を調達補給してもらえる契約だったが、外部の拠点も電力供給が止まっているのでポンプが動かない状態だった。

 このとき大きな役割を果たしたのが、データセンターの敷地内に設置した太陽光発電システムだった。通常時も発電した電力は、データセンターで活用していた。いわゆるDCマイクログリッドを構成していたわけだ。しかも、9月6日は幸いにも快晴だった。このため多くの電力を発電でき、電力供給が再開された60時間後までデータセンターを動かし続けることができた。さらに「被災した社員が会社に集まり、炊き出しをすることができた。データセンターは設備も重要だが、人も重要だ」(同氏)。

 田中氏は、今回の地震で得た教訓として、「太陽光発電システムの系統連系が再開されたのは、地震発生後、かなり時間が経ってからだった。従って、DCマイクログリッドを構成していなければ、太陽光発電システムで発電した電力が無駄になっていたことになる。災害に強い電力システムを実現するには、太陽光発電システムを含めたDCマイクログリッドを構築する必要がある」と指摘した。

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