アパレル大手の三陽商会は2019年6月12日、デジタルトランスフォーメーションの取り組みに関する説明会を開いた。AI(人工知能)関連ベンチャー企業、ABEJAとのデジタル技術を駆使した店舗最適化の取り組みなどを解説した。

 説明会に登壇した三陽商会の慎正宗執行役員経営統轄本部副本部長兼デジタル戦略本部副本部長は「EC(電子商取引)が浸透しても、最も(顧客の)購買に影響力があるのは依然としてリアル店舗での接客だ」と強調した。アパレル各社がECでの販売に注力し競争が激化したことで、反対に「実店舗の価値が高まっている」とした。

三陽商会の慎正宗執行役員経営統轄本部副本部長兼デジタル戦略本部副本部長
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 三陽商会は2018年10月にABEJAと業務提携し、一部店舗で店舗解析サービス「ABEJA Insight for Retail」を活用するなど、デジタル技術を活用した実店舗の強化に取り組んでいる。同サービスでは店舗内に複数設置したセンサーで来店客の入店から退店までの動きを捉え、どのように回遊し、どこで立ち止まったかを定量的に把握できる。

 ABEJAの丸田絃心カスタマーサクセス責任者は、「今はオンラインと同じくらいリアル店舗でもデータを取れる時代になっている」と説明する。同サービスは約100社、570店以上の導入実績があるという。三陽商会は取得したデータを基に魅力ある店舗づくりを目指している。

棚や商品の配置変更で売り上げは7割増

 三陽商会が成功事例の1つとして紹介したのが、「MP STORE二子玉川ライズS.C.店」で実施したレイアウトの最適化だ。同店の店舗内に15台のセンサーを設置し、顧客がどの棚の前で立ち止まり、購入したのかなどの情報をすべて見える化した。

顧客の店内での行動を見える化できる
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 「棚ごとにデータが見えるようになったことで、顧客が立ち止まりやすい棚に売れ筋商品を置くなどきめ細かな対応を図れる」(三陽商会の慎執行役員)。従来は「VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)」と呼ばれる専任スタッフが棚やマネキンをどこに配置し、何の商品を展示するかを感覚や経験則で決めていたが、数値に基づいたレイアウトの最適化が可能になったという。「アクセス数が多いページに売れ筋商品を掲載するという、ECサイトの運営と似たアプローチを取れる」(同)。

 このデータに基づいて店舗のレイアウトを変更したところ、同店の売り上げは7割増えたという。

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