1200人の社員を削減する──。ジャパンディスプレイ(JDI)が2019年6月12日、大規模なリストラ策を発表した。人員削減と液晶パネル工場の稼働停止や閉鎖、社長交代を実施する。主力事業のスマートフォン(スマホ)向け液晶パネルの業績不振を受け、同日に開催した同社取締役会で決議した。

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図1 2019年4月12日に開かれた台中連合との提携に関する発表会見の様子
右が社長を引責辞任する月﨑氏。左が社長に就任する菊岡氏。(写真:日経 xTECH)

 人員削減については、2020年3月31日時点で40歳以上の社員に対して希望退職者を募集する。対象には、同社が出資する有機EL専業のJOLEDへの出向者や海外出向者を含む。

 工場については、石川県の白山工場(石川県白山市)の稼働を停止する。再稼働については、今後の顧客需要の動向を踏まえて2019年9月末までに判断するという。また、千葉県の茂原工場(千葉県茂原市)の後工程ラインを閉鎖する。白山工場は、主としてスマートフォン向けディスプレーの前工程生産(液晶パネル製造、第6世代ライン、LTPS技術)を、茂原工場はスマートフォン向けディスプレイの後工程生産を担う。

 スマホ向け液晶パネル事業の業績不振の理由について同社は、中国メーカーの台頭に伴う価格競争の激化、米中貿易摩擦の影響、顧客が液晶ではなく有機ELの採用を拡大したこと、中国の景気減速、スマホのライフサイクルの長期化を挙げている。

日本興業銀行出身の菊岡CFOが、社長兼CEOに

 業績低迷の責任を取り、代表取締役社長兼社長執行役員最高経営責任者(CEO)の月﨑義幸氏が2019年9月30日付で辞任する。

 後任の社長には、現在常務執行役員最高財務責任者(CFO)の菊岡稔氏が就く。2019年10月1日付で、社長執行役員 兼 CEOとして就任。同氏は、日本興業銀行の出身で、JDIには2017年に入社した。

 また、菊岡氏の社長就任と同じく19年10月1日付で、現在の社外取締役である橋本孝久氏が取締役会長に就任する。同氏は現在75歳。1990年代に日本IBMの液晶パネル事業を率い、2001年には当時台湾の液晶大手だった奇美電子(Chi Mei Optoelectronics)の副会長に就任、2005年には中国の液晶パネルメーカーであるInfoVision Optoelectronics Kunshanの社長兼CEOに就任するなど、液晶事業に長年携わる業界の重鎮の1人である。

 JDIは財務危機を乗り越えるために、台湾・中国の電子部品メーカーや投資会社が作る「Suwaコンソーシアム」との業務提携し、同コンソーシアムから最大800億円を調達することを目指している。台湾・中国連合との提携交渉は、橋本氏と菊岡氏の手腕にかかることになる。