「20年近く展開してきたが、普及しているとは言い難い」。日本電子決済推進機構(JEPPO)の廣崎善啓氏は、同機構が運営するデビットサービス「J-Debit」についてこう述べる。

 キャッシュカードで決済できる手軽さを売り物に、クレジットカードに代わるキャッシュレス手段として2000年にデビューしたJ-Debit。登場はSuicaよりも1年早く、同機構に所属する1030の金融機関がサービスを提供しているにもかかわらず、市場での存在感は薄い。「加盟店が増えなかった点が最大の要因。加盟店獲得の努力も怠っていた」と廣崎氏は分析する。

 そこでJEPPOが打ち出すのはQR決済だ。新サービス「Bank Pay」を2019年10月に開始する。

日本電子決済推進機構(JEPPO)のQR決済サービス「Bank Pay」の主な内容
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J-Debitの決済システムを活用

 Bank Payはキャッシュカードではなく、スマートフォンアプリを使う。利用者は決済用に最大8金融機関の口座を登録できる。加盟店で買い物をすると、口座から即時に料金が引き落とされる仕組みだ。加盟店には最短で購入の3営業日後に売上が入金される。J-Debitと異なり、ECサイトでの購入などオンライン決済にも対応する。

 加盟店に対しては簡便かつ低コストで導入・運用できる点をアピールする。加盟店手数料も安価に設定する方針だ。秘策となるのは、低コスト運用の工夫を施したJ-Debitの決済システムの活用だ。「金融機関間の決済に使う全国銀行データ通信(全銀)システムについては、前日分のデータをまとめて送ることで1日当たり30円で済む」(廣崎氏)。

 加盟店に新たな付加価値を提供できる点もJ-Debitと異なる。Bank Payは専用アプリのほか、既存のアプリに決済機能を提供する形も採る。加盟店が提供するポイントサービスのアプリに、Bank Payの決済機能を付加するといったイメージだ。「こうした組み込み型に対するニーズは強い」(同)。

 6月からJEPPOに所属する140の金融機関が中心になり、加盟店の獲得に向けた活動を本格化させる。地場の企業を支えてきた地域金融機関の営業力が強みだ。「信用金庫などの協力も得て、地域の加盟店を開拓していく。特に中小以下の小売店に根強い“キャッシュレスアレルギー”をいかに払拭できるかが勝負どころ」と廣崎氏は話す。

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