デンソーは、米ハネウェル(Honeywell International)と航空機の電動推進系の共同開発に乗り出した(デンソーの発表資料)。ハネウェルは、油圧システムや空調、通信機器、内装といった航空機の装備品の大手で、航空機向けの技術開発に100年以上の実績を持つ。デンソーは、電動推進系の要素技術であるモーターやモーターを駆動するインバーター、インバーター向けパワー半導体に関して、自動車の電動化で実績を持つ。こうした両社がタッグを組むことで、航空機の電動推進系の開発を加速させる。

デンソーはハネウェルと航空機の電動推進系の共同開発を始めた
(画像:デンソーのプレスリリースをキャプチャーしたもの)
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 航空機にとって電動化の利点は大きい。レシプロエンジンやジェットエンジンといった内燃機関に比べて、温室効果ガスの削減と燃費向上、騒音の低減、構造の簡素化によるメンテナンス負荷の軽減などが可能になる。そのため、航空機業界では現在、小型機から大型機まで、推進系の電動化に向けた研究開発が盛んである。

 例えば小型機の分野では、「空飛ぶクルマ」と呼ばれるような電動の垂直離着陸機(eVTOL機)による「空のライドシェア」や「エアタクシー」といった新しいモビリティーを実現する手段として電動化技術が注目を集めている。「UAM(Urban Air Mobility:都市型航空交通システム)」と呼ばれているもので、行政などが都市部における深刻な渋滞問題を解決する手段として期待を寄せている。eVTOL機は、従来のヘリコプターに比べて、運航コストを大幅に下げられることから、空のモビリティーサービス市場を急拡大させる可能性がある。

 今回の共同開発は、主にUAM向け、すなわち小型機を想定したもの。実際、今回の共同開発に関するプレスリリースで、デンソーの常務役員で北米地域CEOの伊藤健一郎氏が「高品質で大規模なUAMを実現するために自動車産業と航空宇宙産業の連携は不可欠である」とのコメントを寄せている。

 小型機だけでなく、大型機も射程に入れているとみられる。電動化によって新市場を作ろうという小型機分野に対して、中・大型機では燃費や機体の管理コストの削減に加えて、環境負荷低減の目標をクリアするために電動化が進む。旅客需要の増加によって、航空機の数は今後20年間でおよそ2倍になると言われており、CO2排出量削減は喫緊の課題である。そこで、これまで進めてきた航空機の装備品の電動化に加えて、推進系の電動化も視野に入れている(関連記事「空飛ぶクルマからハイブリッド旅客機まで、あらゆる航空機に電動化の波」)。

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