2019年10月の消費増税、そして2020年1月のWindows 7のサポート終了を控え、パソコン業界に「ダブル特需」への期待の声が高まっている。ここ数年、需要の低迷に苦しんできたメーカー各社は久々の大型商戦へ向けて増産体制を整えるなど準備に余念がない。一方で2014年3月の「XP特需」のような大きな盛り上がりにはならないとの冷静な意見もみられる。理由を探ると4点の事情が見えてきた。

2019年後半、パソコン需要は盛り上がるのか(ビックカメラ有楽町店のパソコン売り場)
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 2019年後半に予想されるダブル特需を、パソコンメーカー各社が歓迎しているのは間違いない。「4~6月の出荷に加え、7~9月の引き合いも好調な状況が見えてきている。その流れで10月~2020年3月も引っ張っていきたい」(パナソニックの向坂紀彦モバイルソリューション事業部東アジア営業統括部長)、「法人向けを中心に、既にものすごい勢いで需要が増加してきている」(日本HPの九嶋俊一専務執行役員)、「10月の増税前にピークがくるだろう。一部の販売店は9月に前年同期比60~70%増の台数をほしいと言ってきている」(富士通クライアントコンピューティング、以下FCCLの山田正志執行役員専務)。

 パソコン業界では似たような特需が2014年3月にも訪れていた。消費税率が5%から8%に引き上げられるのと、Windows XPのサポート終了がほぼ同時に訪れたいわゆる「XP特需」だ。2001年から長年使われてきたロングセラーOSが使えなくなるとあって、当時は法人・個人ともに買い替え需要が殺到し「家電量販店では展示品さえも売れてしまい、パソコン売り場から商品がなくなった」(FCCLの山田執行役員専務)ほどだ。その後パソコン業界は需要低迷が長く続き、ソニー(現VAIO)、東芝(現Dynabook)、富士通(現FCCL)などメーカーの再編劇も相次いだ。そうした中、久々に訪れた大型商戦だけにパソコン業界が盛り上がるのは当然ともいえる。

 一方でパソコンメーカー各社は、必ずしもXP特需のような大きな盛り上がりを期待し、予想しているわけではない。「需要のピークの立ち方という意味では、XP特需のようなことにはならない」(NECパーソナルコンピュータ、以下NECPCの河島良輔執行役員)という冷静な意見が大勢だ。その理由は4つに分けられる。

1年前に始まっていた特需、ピークは小さく

 第1の理由は、台数ベースで国内パソコン市場の4分の3を占める法人市場が、Windows 7のサポート切れを見越して早めに買い替えに動いているからだ。市場調査会社IDC Japanによると、2018年の4~6月には法人向け出荷実績が前年同期比20%増を記録し、2019年1~3月には同42%増になるなど、Windows 7のサポート切れを見越した買い替え需要が前倒しで訪れていることがうかがえる。

 「ユーザー企業はWindows XPのサポート終了時に、パソコンを買い替えようと発注しても商品が届かないという経験をしている。その教訓から、大企業を中心に早い段階から計画的に買い替える動きにつながっている。XP特需前後に購入やリースしたパソコンが2018年ごろから買い替えやリース切れのタイミングになっていることもあるだろう」。IDC Japanの市川和子PC・携帯端末・クライアントソリューション リサーチマネージャーはそう指摘する。

 大企業を中心に法人ユーザーが早めの買い替えに動いていることを踏まえ、市川リサーチマネージャーは「今後は前年同期比でみればある程度高い水準だろうが、スローダウンしていく」と予想する。法人向け需要は2019年10~12月に前年割れとなり、2020年1~3月には同20%前後の減少を見込む。ただ、前年同期比ではマイナスとはいえ「2019年10~12月は法人向けで190万台程度の出荷を見込んでおり、台数的にはさほど悪くない」(同)とする。

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