総務省が導入を目指す海賊版サイト対策が壁に直面している。意見募集で多数の反対や異論が寄せられたほか、専門家の指摘で導入への大きなハードルが明らかになってきた。断念に追い込まれたサイトブロッキング方式に替わる提案を新たに打ち出したはずだったが、またしても総務省が有力視する手法は暗礁に乗り上げつつある。

 海賊版サイトの対策手法を議論しているのは、総務省が主催する有識者会合「インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止方策に関する検討会」である。2019年6月3日に第2回会合を開き、2019年5月中旬まで受け付けた意見募集の結果を説明したほか、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)から専門家が出席し、技術的な課題を指摘した。

6月3日に開かれたインターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止方策に関する検討会の模様
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 特に焦点となったのは、総務省が2019年4月開催の初回会合で提示した2つの対策方式の1つ「アクセス警告方式」の妥当性である。総務省は同方式の導入に前向きとみられる。

「土管に徹する」通信の原則に反する行為

 「ここまで反対されるとは。ほぼ反対意見ばかりといっていい」。意見募集の結果を受けて、構成員の1人である森亮二弁護士はこう吐露した。

 提出された意見は133件(個人が119件、法人・団体が14件)。総務省が提案する方式への賛否を問う形ではないが、大半は課題を指摘したり反対したりする意見で占められた。特に目立ったのが「アクセス警告方式」に対する法律面の課題と、通信技術を支える理念との食い違いを指摘するものである。

 アクセス警告方式はドメイン名やIPアドレスなどからユーザーが海賊版サイトを閲覧しているかどうかをインターネット・プロバイダーが機械的に判別し、ユーザーの通信に介在して警告画面を出す方式だ。ユーザーに違法サイトである旨の警告画面を読んでもらったうえで、サイトを離れるか閲覧するかの判断はユーザーに任せる。政府が導入を断念した、海賊版サイトへの通信を全て遮断する「サイトブロッキング」に替わって、総合対策の1つとして浮上した方式である。

総務省が事務局の試案として示したアクセス警告方式。プロバイダーによる通信への介在が必要になる
出典:総務省、知的財産戦略本部 インターネット上の海賊版対策に関する検討会議(第7回)宍戸常寿委員提出資料
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