北九州市小倉から船で1時間ほど航行した海上で、その新型浮体式風力発電機は白いブレードを勢いよく回転させていた。海がしけ模様だったため、遠巻きに見るしかなかったのだが、大きなうねりなど物ともせず海上に姿勢良く直立していた。この巨大な風車はなぜ強い風を受けても倒れないのだろう、と素朴な疑問を感じながら、日本の風力発電開発の最前線の様子を取材した。

北九州沖の洋上風力発電システム

海に浮かぶ"浮体式"と呼ばれるタイプ。高さ120m、出力は3MW。(映像:日経xTECH)

実証試験を開始した"バージ型"洋上風力発電システム
北九州市沖合15kmの海上に浮かぶ。2枚翼が特徴だ。(写真:日経 xTECH)
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 NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は5月21日、北九州市の沖合に設置したバージ型浮体式洋上風力発電システムの実証試験を開始したと発表した。世界各国が開発を競う浮体式風力発電の一種で、水深50~100mの海域への設置に適した発電システムである。

 日本は欧州や中国と比べ、風力発電の普及が進んでいない。さまざまな理由が指摘されているが、大規模化が進まず高コスト体質になっていることは確かのようだ。これまでのところ日本の風力発電コストは13.9円/kWhで、世界平均8.8円/kWhの1.6倍だという(資源エネルギー庁の資料)。日本の風力発電の導入量は2018年3月時点で350万kWにとどまっており、太陽光発電4450 万kWの10分の1以下(8%程度)である。日本の再エネ利用は太陽光発電に偏重している。

浮体式洋上風力発電システム実証研究の開所式
NEDOの関係者だけでなく、地元の自治体や産業界の期待が大きい(写真:日経 xTECH)
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 第5次エネルギー基本計画(2018年7月)で、各種再生可能エネルギーの主力電源化に取り組むと表明した日本政府にとって、風力発電の普及は重要課題だ。その有力な手段が、洋上風力の開発である。実証試験の開所式で資源エネルギー庁の山影雅良政策課長は「再エネはコストがかかる。FITによる買取費用は、2018年度に3兆円に達したが、これは高すぎる。これからは太陽光だけでなく風力、とくに洋上風力に力を入れ、再エネの低コスト化を大々的に進めていきたい」と語った。

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