行政手続きを原則デジタル化する「デジタル手続法(デジタルファースト法)」が2019年5月24日、参院本会議で可決、成立した。国の行政機関に対して行政手続きを原則インターネットで受け付けられるようにし、自治体には努力義務を課す。ただ、デジタル化を免れ既存手続きを温存する「抜け穴」が残るなどまだ課題はありそうだ。

 デジタル手続法の成立を受けて平井卓也IT担当大臣は同日、データ流通などに取り組む約100社の企業からなるデータ流通推進協議会が開催したフォーラムの懇親会に来賓として挨拶に立ち、「大事なポイントは行政手続きを原則デジタルで行うとピン留めしたこと」と同法の意義を語った。

 一方で平井大臣は、政府が法案に「デジタル」という言葉を書き込むのを避けたために法律の正式名称が80文字を超えるものになってしまったと明かした。実はデジタル手続法の正式名称は「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」という長大なものだ。

 平井大臣は「これからまだ議員立法を出してデジタル社会というものを本当に分かりやすく国民の皆さんに示さなくてはいけない」と発言。デジタル化の恩恵を広めるには、立法によって同法律の内容を補完したり強化したりする後押しがまだ必要という考えを強調した。

政府のIT調達予算を一元化

 デジタル手続法は既存の行政手続オンライン化法やマイナンバー法、公的個人認証法、住民基本台帳法などを一括改正したものだ。行政の手続きやサービスが一貫してデジタルで完結する「デジタルファースト」や、一度提出した情報は再提出不要にする「ワンスオンリー」、民間サービスを含め複数の手続きやサービスをワンストップで実現する「コネクテッド・ワンストップ」の3原則が柱だ。高齢者らを対象に「デジタルデバイドの是正」も進める。

デジタル手続法の概要
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 デジタル手続法は国の行政機関への手続きの際に求められる戸籍や住民票、課税証明書など添付書類について、書面ではなく原則オンラインで受け付けるようにする。業務改革を踏まえて添付書類の審査などは手続き件数の多いものから情報連携のシステムを整備して省力化する。

 手続きに必要な本人確認や添付書類の情報連携はマイナンバーカード(個人番号カード)の内蔵ICチップに搭載した「公的個人認証サービス」を使う。国内在住者にマイナンバーを通知する「通知カード」を廃止してマイナンバーカードの利用者や利用方法を拡大する。手数料の収納も収入印紙ではなく電子収納によって可能にする。

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