データファーストからプライバシーファーストへ――。米グーグルや米マイクロソフト、米フェイスブックが一斉にプライバシー保護を重視する方針を打ち出した。ケンブリッジ・アナリティカ事件やEU(欧州連合)のGDPR(一般データ保護規則)施行などを通じ、政府や消費者の目が厳しくなりつつある状況に対応する狙いがある。

 プライバシーファーストは、米IT大手が4月末から5月頭にかけて開催した開発者会議に共通するメッセージだった。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は4月30日に開催した「F8 2019」で、個人情報を広く共有するよう促す従来のソーシャルネットワークから「プライバシーに焦点を当てたソーシャルネットワーク」への移行を宣言した。

 マイクロソフトのサティア・ナデラCEOも5月6日に開催した「Microsoft Build 2019」で、ブラウザー「Edge」の新機能として、広告会社などによる追跡をユーザー自身が3段階(制限なし、バランス、厳格)で制御できるプライバシーコントロール機能を明らかにした。

Google I/O、最大のテーマはプライバシー

 3社の中でも特にプライバシー保護の姿勢を強く打ち出したのがグーグルだ。5月7日に開催した「Google I/O 2019」における最大のテーマだったと言える。

 その一例がAIアシスタント「Googleアシスタント」の稼働方式を大きく変えるとの発表だ。これまでは音声認識の推論をクラウド上で処理していたが、2019年後半にリリースする次世代版ではスマートフォンだけで音声認識ができるようにする。

 100ギガバイトほどある推論モデルのデータ容量をスマホ向けに0.5ギガバイトまで圧縮。スマホだけで音声認識を完結させることで、従来の10倍の速度でユーザーの問いかけに応答できるほか、生の音声データをクラウドに送信せずに済むようにした。

 このGoogleアシスタントの方針は、GmailやGoogleドキュメントに代表されるユーザーデータをクラウドに集約するアーキテクチャーを志向していたグーグルの開発戦略の大きな転換点となる可能性がある。

 実際グーグルのスンダー・ピチャイCEOは基調講演の中で、端末の中にデータをとどめたままAIに学習させる新たなアプローチ「フェデレーテッド・ラーニング」の考え方も示した。「端末から生データをクラウドに送るのではなく、機械学習モデルを端末に送ってモデルを訓練し、クラウド上で統合する」(ピチャイCEO)。既にキーボードアプリ「Gboard」における単語予測に使っているという。

グーグルのスンダー・ピチャイCEO
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先を走るアップル、追うグーグル

 ただしグーグルの屋台骨を支えるWeb広告収入に関わるプロダクトの開発方針については、説明の歯切れが悪い。

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