産業用通信モジュールを約50年にわたって開発・提供してきた米マルチテック(Multi-Tech Systems)が、日本市場への本格的な参入を図っている。2019年5月17日に東京で潜在顧客に向けたプライベートセミナーを実施、同じ会場で報道機関向け会見を行った。

左からLindvall氏、Wald氏、Lee氏。日経 xTECHが撮影
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 会見には、CEOのStefan Lindvall氏、Vice President & Managing Director, EMEA & APACのDuane Wald氏、Country Manager, JapanのKyungjun Lee氏が登壇した。Multi-Techは1970年に産業用アナログモデムのメーカーとしてスタートした。以来、産業用M2MやIoT通信に特化して事業を展開してきた。これまでに2500万個以上の通信モジュールなどを提供したとする。現在の主力製品は移動通信モジュール(セルラーモジュール)である。

これまでの実績の例。Multi-Techのスライド
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 今後、同社が大きく伸びると期待しているのが、LPWA(Low Power, Wide Area)通信方式の1つである「LoRaWAN」。LPWAには通信事業者のネットワークを使うライセンス系と、それを使わないアンライセンス系があり、LoRaWANは後者のアンライセンス系である(LoRAWAN以外のアンライセンスLPWAでは「SIGFOX」が有名)。

 LPWA市場を狙う企業は多数存在し、ライセンス系を中核にするケースもあれば、どちらも均等に扱うケースもある。Multi-Techがアンライセンス系のLoRAWANを狙うのは、「セキュリティー技術が進歩しているとは言え、産業分野においては、公衆通信網に情報やデータが流れることに不安を持つユーザーは少なくない。工場建屋内はもちろん、工場のある事業所内全体に専用のネットワークを構築できるLoRAWANのニーズは高い」(Lindvall氏)ためである。

 LoRAWANのネットワークを構築するには、端末にLoRaWAN子機(モジュール)を取り付け、それらをまとめたり外部ネットワークと接続したりするLoRaWAN親機(ゲートウエー)を設置する必要がある。Multi-Techはどちらも製品として用意するが、同社として力を入れるのは、後者のLoRaWANゲートウエーだとする。「LoRaWANモジュールは、米Microchip Technology(関連記事1)など競合が多い。我々はLoRaWANゲートウエーに力点を置く」(Wald氏)。現在、中国を除く世界市場において、Multi-TechはLoRaWANゲートウエーでトップ3の一角を占め、20%のシェアを持つという。

LoRaWAN対応ゲートウエー製品の例。Multi-Techのパンフレットから抜粋
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