カナダのDウエーブシステムズ(D-Wave Systems)は量子アニーリングマシン「D-Wave」のユーザーカンファレンス「Qubits Europe 2019」をイタリアのミラノで2019年3月25日から3日間にわたり開催した。会期中に30以上の発表があり、コーヒー休憩やディナー時にも活発な議論が交わされた。

 カンファレンスの参加者数は135人超。そのうち日本からの参加者は35人で、前年に続き高いプレゼンスを示した。また前年に比べて参加者の所属企業の多様性がより高まった。本記事では筆者らの印象に残った発表をいくつか取り上げながら、カンファレンスを振り返ってみたい。

次世代D-Waveマシンはノイズレベル大幅改善

 まずは主催者でもあるDウエーブシステムズの発表を取り上げたい。同社は前年の「Qubits Europe 2018」でD-Waveマシンの次世代アーキテクチャー「Pegasus」を発表した。まだPegasusアーキテクチャーのマシンがリリースされていないこともあり、残念ながら今回はPegasusの「その先」についてコメントはなかった。Pegasusプロセッサーの仕様も、Qubit数は5640個、Qubit間の接続数が15と、前年来の発表と変更はなかった。

 一点新しい情報として、Pegasusプロセッサーは製造工程の最適化によりノイズレベルを大幅に改善できたとの発表があった。これにより次世代機はアニーリングパラメーターの制御がより正確になり、解く問題によってはアニーリング時間が40分の1程度に短縮されるという。

 Pegasusプロセッサーを備えた次世代機は、2020年半ばに利用可能になるとのこと。「2年でQubit数を2倍にする」というDウエーブの野心的な目標はいまだ健在と言えよう。

D-Waveマシンのロードマップとゲート型量子コンピューターの進化との比較
(出所:Qubits Europe 2019、以下同じ)
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