NTTデータが2020年3月までに「情報銀行」向けシステムを実用化する。「商用化に向けて様々な企業と開発を進めている。先行して1~2社のビッグネームの企業で実用化する予定だ」。同社が2019年5月16日に開いた説明会で、江島正康ソーシャルビジネス統括部第二営業担当課長はこう意気込んだが、道程は容易ではなさそうだ。

実証アプリのデモを披露する、NTTデータの江島正康社会基盤ソリューション事業本部ソーシャルイノベーション事業部ソーシャルビジネス統括部第二営業担当課長
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情報銀行ビジネスに3つの課題

 情報銀行とは、個人がどの企業にどう利用させるかを決めたうえで自分でデータを預けると、データを活用した企業が「利子」として個人にメリットのあるサービスなどを返す枠組みを指す。現時点で情報銀⾏のビジネスモデルは大きく分けて「情報銀⾏の利⽤者にデータの対価を払うもの」と「データを基にサービスの仲介をするもの」の2つがある。

 経済産業省と総務省は2018年6月に民間団体が情報銀行の事業者を審査・認定する指針を定めた。IT関連団体を束ねる日本IT団体連盟はそれに沿って2018年12月に審査を始め、近く認定企業を公表する見通しだ。

 NTTデータの取り組みは早かった。例えば三菱UFJ信託銀行が2018年11月に実証実験をした情報銀行のプラットフォーム「DPRIME(ディープライム)」のベータ版の開発支援やサービスの検討当初から参画してきた。

 DPRIMEを使うと、個人はスマートフォンのアプリに自分の「歩行データ」などを集約して、データを利用したい企業への提供を選択できる。データ利用企業はデータの利用目的や対価を提示して、個人が提供可否を判断する仕組みだ。

 「個人が何かしらの見返りを期待してパーソナルデータを企業に提供すると、企業がより的確な広告を配信できる新しい仕組みが生まれる可能性がある」。NTTデータの花谷昌弘金融事業推進部デジタル戦略推進部部長は情報銀行の将来性をこう読む。

NTTデータの花谷昌弘金融事業推進部デジタル戦略推進部部長
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 期待を寄せる一方で、NTTデータは情報銀行がビジネスとして成立するには3つの課題があると指摘した。1つは個⼈データを保有する企業が個⼈にデータを戻すインセンティブ。企業に何らかのメリットがなければデータを出そうとしない企業が多いのが現状だからだ。

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