日本オラクルがクラウドERP(統合基幹業務システム)への注力をより強める。「Oracle E-Business Suite(EBS)」や「PeopleSoft」といったオンプレミス(自社所有)環境向けのERPの販売も継続するが、クラウドERP「Oracle ERP Cloud」を主力製品に位置づける。

 2019年6月から始まる新年度から本格的にOracle ERP Cloudの導入を手掛ける新たなパートナーなどを開拓する方針だ。数カ月以内に、2019年5月8日に開設した「Oracle Cloud」の東京リージョンからの提供も予定している。

 2019年3月に着任した日本オラクルのピーター・フライシュマン専務執行役員クラウド・アプリケーション事業統括は、「オンプレミス環境向けのERPからクラウドERPに変更することは簡単でないと理解しているが、日本企業でも必ずクラウドERPの導入が進むと信じている」と強調する。

日本オラクルのピーター・フライシュマン専務執行役員クラウド・アプリケーション事業統括
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 日本オラクルに着任する前までフライシュマン氏は、米オラクル(Oracle)でオランダを中心にした西ヨーロッパのアプリケーション事業を担当していた。「欧米は4~5年前から、クラウドERPの導入が進み始めている」として、「同様の現象が日本でも起こるのは明らか」との見解を示した。

 フライシュマン氏がSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型のクラウドERPに注力するのは、「ユーザー企業がイノベーションを短いサイクルで取り入られる」と考えているからだ。Oracle EBSのようなオンプレミス環境向けのERPの場合、「システムが稼働した時点で、5年くらい前の技術を使った製品を導入していることになる」とフライシュマン氏は話す。

 オンプレミス環境への場合、製品の導入決定時に既に「最新版ではなく、安定した以前のバージョンを採用する企業が多く」かつ「導入プロジェクト期間は短くても3年程度かかる」(フライシュマン氏)ことが一般的なためだ。稼働の3年後であっても、「その時点で既に利用しているERPは、7年以上前の技術を採用した古い製品になっている」とフライシュマン氏は指摘する。

 フライシュマン氏は、「今から7年前スマートフォンやAI(人工知能)はこれほど普及していなかった。技術の進化が早くなり多くのイノベーションが起こっている今、四半期に1度バージョンアップを実行するクラウドERPはユーザー企業にとっても大きなメリットがある」と強調する。

ユーザー企業の引き合いはオンプレミスのバージョンアップ

 ただしフライシュマン氏が自ら「簡単でない」というように、日本市場はERP領域でSaaS型のクラウドERPの導入は進んでいない。

 Oracle ERP Cloudは米オラクル(Oracle)が運用し、四半期に一度自動的にバージョンアップする。会計や人事、販売など基幹系システムの領域で安定稼働を望み、変更を嫌ってERPを「塩漬け」で利用することの多い日本のユーザー企業にとって、バージョンアップのタイミングや運用を提供ベンダーが決めるSaaSへの移行は簡単ではない。

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