高速バスや鉄道など交通サービスを展開するWILLERは2019年5月14日、シンガポール法人WILLERS(ウィラーズ)を通じて6月から現地で自動運転バスの商用化に向けた試験運行を始めると発表した。6カ月間は自動運転バス1台を毎日無料で運行し、以後は有料で運行する予定である。

WILLERがシンガポールで運行する仏Navya製の電動自動運転バス
(出所:WILLER)
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 シンガポールでは、6月に始める1区間1台以外にも試験運行を準備中で、2019年内に合計3区間5台を毎日運行する計画だ。三井物産子会社のカーシェア事業者Car Clubや、政府系企業のSingapore Technologies Engineeringと協業する。

国立公園内の2.5キロを自動走行

 運行区間は2019年4月に開園したばかりの国立公園ジュロン・レイク・ガーデンズの園内である。園内最北にある鉄道駅から園内の主要施設を通り、南側にある駐車場までの約2.5キロメートルを結ぶ。乗客は区間内ならどこでも乗降できる。スマートフォンアプリで乗降地を指定して自動運転バスを呼び出す。

自動運転バス呼び出し用アプリの画面
(出所:WILLER)

 自動運転バスの車両は仏Navya製の電動バスである。15人乗りで最高速度は時速25キロメートル。自動運転レベルは「レベル3」で、運転操作は全自動だが、車両に安全管理担当スタッフが同乗し、緊急時はスタッフが介入する。

 WILLERが自動運転バスを試験運行する場にシンガポールを選んだのは国策で自動運転車の実用化を後押ししているからだ。自動運転に関する規制が日本に比べて緩く、長期間にわたって毎日運行しやすい。パートナー企業であるSingapore Technologies Engineeringは既に自動運転車の実証実験を重ねており、技術を蓄積している。

 ただ、商用ベースで毎日運行する例はシンガポールでも珍しいという。WILLERの村瀬茂高代表取締役は「シンガポールでノウハウを蓄積し、日本での展開につなげたい」と話す。WILLERは2019年秋に日本国内でも実証実験を始める計画だ。

WILLERの村瀬茂高代表取締役
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 シンガポールでの試験運行を通じて獲得したノウハウを生かして、より大きな市場である日本での自動運転バス運行を目指す。村瀬代表は「我々は自動運転技術を持たないが、バスの安全運行や営業のノウハウに強みがある。シンガポールで自動運転バス商用化に向けた課題を検証し、日本へと展開する」と話す。

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