令和の開始を5日後に控える2019年4月26日、富士通とNEC、日立製作所の国産IT大手3社がそろって2019年3月期の連結決算(国際会計基準)を公表した。全社の業績で見ると1兆円を稼ぐまでに成長したIoT(インターネット・オブ・シングズ)基盤「Lumada」を擁する日立が増収増益、構造改革による損失を出し切ったNECは増収減益、構造改革に着手した富士通は減収減益と色が分かれた。

3社の全社業績と予想
企業名年度売上高(前年同期比)営業利益(前年同期比)
日立製作所 *12018年度9兆4806億円(1.2%)7549億円(5.6%)
2019年度(予想)9兆円(▲5.1%)7650億円(1.3%)
富士通2018年度3兆9524億円(▲3.6%)1302億円(▲28.6%)
2019年度(予想)3兆7500億円(▲5.1%)1300億円(▲0.2%)
NEC2018年度2兆9134億円(2.4%)585億円(▲8.4%)
2019年度(予想)2兆9500億円(1.3%)1100億円(88.0%)
*1 営業利益は同社の説明資料中にある「調整後営業利益」を参照した
(出所:各社の発表資料を基に日経 xTECH作成)

 ただITサービスの業績で見ると各社とも好調といえる。日立は2019年3月期の増収増益から2020年3月期は減収減益に転じるが、Lumada事業の拡大に向けて600億円の成長投資を投じるためだ。

3社のIT関連セグメントの業績と予想
企業名年度売上高(前年同期比)営業利益(前年同期比)
日立製作所 *1
情報・通信システム *2
2018年度2兆659億円(2.8%)2252億円(19.0%)
2019年度(予想)2兆600億円(▲2.9%)2200億円(▲4.4%)
富士通
テクノロジーソリューション
2018年度3兆1237億円(2.3%)1879億円(▲0.8%)
2019年度(予想)3兆1500億円(0.8%)2360億円(25.6%)
NEC
IT関連 *3
2018年度2兆3261億円(3.3%)1227億円(▲9.9%)
2019年度(予想)2兆2850億円(▲1.8%)1690億円(37.7%)
*1 営業利益は同社の説明資料中にある「調整後営業利益」を参照した
*2 2019年度からセグメント分類を「IT」に変更している。2019年度予想の前年同期比は新しい分類で算出した
*3 「パブリック」 「エンタープライズ」 「ネットワークサービス」 「システムプラットフォーム」セグメントの合計値
(出所:各社の発表資料を基に日経 xTECH作成)

 NECは2019年3月期はWindows 7のパソコンから「10」のパソコンに買い替える特需のプラスと構造改革費用のマイナスが作用して増収減益だったが、2020年3月期は双方が消え、営業利益が4割近く伸びる減収増益を見込む。3兆円を稼ぎITサービス国内トップの富士通は営業利益が前年度をわずか0.8%下回る増収減益だったが、公共系の需要増が続き、2020年3月期は増収増益の予測である。

日立のLumada事業、12%成長

 日立製作所は売上高が前期比1.2%増の9兆4806億円で、営業利益は同5.6%増の7549億円の増収増益だった。情報・通信システムのセグメントも売上収益(売上高)は同2.8%増の2兆659億円、営業利益は同19%増の2252億円と増収増益だった。

 事業の柱にすべく注力するのがLumadaだ。西山光秋執行役専務CFO(最高財務責任者)はLumada事業の売上収益が同12%増の1兆1270億円まで拡大したと明かした。

日立製作所の西山光秋執行役専務CFO(最高財務責任者)
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 さらにLumada事業を拡大させるべく、2020年3月期の投資は2019年3月期よりもおよそ600億円増やすという。これにより2020年3月期のITセグメント(2019年3月期の情報・通信システムから変更)は一時的に減収減益となる予測だ。

 巨額投資を使って日立はLumadaをIT分野以外でも適用しやすくするよう改善する。Lumadaを活用できる「デジタル人材の育成・強化にも注力する」(西山CFO)。

 課題にも手を打つ。「Lumada事業は着実に伸びているが、まだ国内に偏りがある」(同)。そこでグローバル展開を加速するため、海外企業のM&A(合併・買収)に取り組むという。

 その1つとして「グローバルでの展開を支える重要な一角になる」(同)と期待を寄せるのが、2019年4月24日に日立が買収を発表した米JRオートメーションテクノロジーズ(JR Automation Technologies)だ。同社は産業用ロボットを使った生産ラインや物流システムの構築に強みを持つ。

 日立はJRオートメーションテクノロジーズが作った生産ラインなどにLumadaの適用を進める。海外顧客の獲得の足掛かりにしていく考えだ。

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