2輪車を主軸にするヤマハ発動機が、次世代の移動サービス「MaaS(Mobility as a Service)」を手掛けようと動いている。グループ会社で生産する4輪ゴルフカートをベースに、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)を開発。高齢化が進む地方都市での“足”として、試験運用を進める(図1)。MaaSを成長の新たな原動力にできるか。

図1 ヤマハ発動機は4輪ゴルフカートをベースにした電動車両で「MaaS」市場を狙う(撮影:日経 xTECH)
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 「(ヤマハ発の)上層部から、MaaSの実現に向けて強い指示を受けている。不特定多数の利用者を想定して、耐久性など車両設計を変えなくては」――。同社のある技術主査はこう内情を明かす。

 多様なモビリティーをサービスでつなぐMaaS。2輪車をMaaSに組み込む場合、シェアリングによる個人での移動が主体になるが、安全性の向上や免許制度のハードルなど、乗り越えるべき要件は多い。

MaaSの運営を目指す

 そこで、同社はゴルフカートに活路を見いだした。一般車両に比べて低速で走るため安全を確保しやすい。同時に数名を運べるため収益性が高く、既存の車両プラットフォーム(PF)をベースにすれば開発費を抑えられる。MaaSに組み込む車両開発を皮切りに、「できればサービス運営まで自社で手掛けたい」(同技術主査)。サービス実現のため、通信キャリアやアプリ開発会社との提携を視野に入れる。

 2輪車の国内需要は年間約36万台。緩やかな減少傾向にあり、ヤマハ発をはじめ国内2輪車大手の矛先は既にアジア新興国に移っている。

 一方で、MaaS市場は急拡大していく。調査会社の矢野経済研究所によると、日本のMaaS市場は2030年に6兆3634億円まで成長する見通し(図2)。これは、2019年の市場見込み1227億円の50倍以上の規模となる。他の2輪車メーカーに先駆けて地方での試験運用を進めてきたヤマハ発としては、この市場をぜひ押さえたい。

図2 日本のMaaS市場は2030年に6兆3634億円まで成長する見通し(出所:矢野経済研究所)
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