矢野経済研究所(本社東京)は、金属部品の製造手法の一種である金属粉末射出成形(Metal Injection Molding:MIM)の国内市場を調査し、市場規模と今後の予測、関連企業の動向と将来展望をまとめた(ニュースリリース)。2025年の国内市場は265億8200万円で、2015年度から2025年度までの年平均成長率は9.78%と予測している(図)。

図:金属粉末射出成形の国内市場規模の推移と予測
(出所:矢野経済研究所)
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 同社は、2018年11月~2019年3月に金属粉末射出成形関連メーカーと日本粉末冶金工業会を対象に面談と文献調査を実施。メーカー出荷金額ベースで市場規模を算出した。それによると、2017年度の国内MIM市場は123億1300万円と推計され、2018年度の同市場規模は前年度比110.2%の135億6700万円の見込みだ。

相対密度95%以上を実現する金属成形手法

 MIMは、金属の微粉末を使用し、樹脂成形技術と粉末冶金の技法を組み合わせた手法。1960年に米国航空宇宙局(NASA)の研究員だったR.E.Wiech.Jr氏が開発したのが発祥とされ、近年、従来の鍛造や鋳造、機械加工などの金属加工技術にない特徴を持つ製造手法の1つとして、改めて注目されている。

 工程としては[1]金属粉末とバインダー(樹脂とワックスから成る)の混錬、[2]コンパウンド(ペレット化)、[3]射出成形(樹脂と同じ射出成形機を使用)、[4]脱脂(バインダーの除去)、[5]焼結を経て、金属部品を製造する。[4]の脱脂の方法には、処理時間がかかるものの大量処理が可能な加熱脱脂と、有機溶剤または水を用いる溶媒脱脂がある。[5]では、連続式焼結炉またはバッチ式焼結炉を用いる。これらの工程により、相対密度が95%以上の金属組織を得られる。

 日本粉末冶金工業会はMIMの特徴として、形状・材料の自由度と寸法精度、機械的強度、量産性の高さ、さらには後処理の容易さ、製造コストの低さを挙げる。具体的には、複雑な形状に対してニアネットの3D形状を得られるため、材料費や後加工費を節約できる。さらに、ランナーやスプルーを粉砕・再利用すれば材料の歩留まりも100%近くに高められる。微細化された金属粉であれば原則として成形が可能。このことは特に、難加工材料や高融点金属の部品化に有効だ。

 寸法精度は通常のプレス成形による粉末冶金法と同等だが、工程の改善によって高精度化が見込める。焼結性の高い微細粉末を用いるため、充填密度や成形時の圧力分布が均一になり、変形の少ない高密度焼結が可能だ。プレス成形による粉末冶金法に比べて強度が高まるという。

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